2021.10.9
復活のワンショット 渋野日向子17番で見た
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
スタンレーレディスゴルフトーナメント 東名カントリークラブ(静岡県)第2日
オオッとどよめきが漏れたのは、17番だった。渋野日向子が会心の第1打を放つ。300ヤードの目印の直前まで、ボールを運んだ。
「風がアゲインストだったけど、キャリーを稼げる当たりです。それと、下りの傾斜をうまく使えた」。狙い通り、渾身のショットはこれまでのモヤモヤを吹き飛ばすようだ。プロゴルファーが追い求める飛距離のアドバンテージ。目指すスタイルが、ようやく現実のモノになった。
そして、1パットでバーディーを奪う。この日は6バーディー、1ボギーの67をマーク。首位へ2打差の通算6アンダーでホールアウトした。5位タイで最終日は、久々の優勝争いである。「私らしいプレーができた」と喜び、すぐさま、「調子に乗ると、後悔することになる。きのうのプレーは脇へおいておきましょう。きょうは、欲深く考えなかった。それが良かったと思います」。つとめて控えめに心境を語っている。
ただし、上昇機運に乗ってきたことは確かだろう。ここ3戦はトップ10フィニッシュ。その内の2戦はトップ5である。それでも、復調の言葉を口にしないのは、自身のプライドというものだろう。出場すれば毎試合、ファンから結果を求められる。これも人気選手の宿命だ。
表情には出さないものの、誰より歯ぎしりをするほど悔しかったのは、むろんご本人だろう。「狙うとコケる」としながらも、「狙って勝つぐらい、気持ちが強くないとこれからやっていけません。今は真摯にそんな私と向き合っている」と加えた。
振り返ってみれば、2019年エリエールレディス以来、優勝から遠ざかっている。「もし、(最終日)18番で1打差だったら、狙うしかない。久しぶりに優勝争いの気分を味わえる。コツコツとやっていれば、いいことがある-そう思いたい」。大混戦は間違いない戦況である。スマイリング・シンデレラ・アゲイン。楽しみな日曜日になった。
(メディア管理部・中山 亜子)
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