2021.11.21
80センチの幸運 原英莉花イーグル奪取でV
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGA ツアー2020-21シーズン第51戦『大王製紙エリエールレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が11月21日、愛媛県松山市・エリエールゴルフクラブ松山(6,545ヤード/パー71)で行われ、通算17アンダーで原英莉花が21年初優勝。3打差の通算14アンダー、2位タイに鈴木愛、福田真未、柏原明日架が入った。
USLPGAのQスクール挑戦のため、今大会が国内最終戦の渋野日向子は通算9アンダー、12位タイ。賞金女王など、タイトル争いの稲見萌寧、古江彩佳はともに通算8アンダー、19位タイだった。
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《グリーン=スティンプ:12フィート コンパクション:22.5mm》
1歩の差、わずか80センチが1年ぶりの優勝を運んできた。原英莉花、パー5・17番の第1打は右へ飛び出す。前方には池があった。「もう、奇跡です。池かなぁ、と思って第2打地点へ行ったら、ギリギリのところで止まっていた。歩測したら、ちょうど1歩。80センチです」。
しかし、見ている立場ではわからない葛藤がこの直後にあった。「私は第2打で、ピンをダイレクトに狙おうとしたら、キャディーさんに止められて…。改めて、グリーンのセンター狙いへ切り替えた」という。残り214ヤード、7Wの第2打はピン右8メートルへ。
確実にバーディーをとる作戦だった。だが、自信をもってストロークすると、ボールはカップへ吸い込まれるように-。イーグルだった。「うふふ…」と思い出し笑いをしながら、「11番でも、同じようなことが。でも、ピンへ当たって入らない。今度もダメだろうなぁ。イーグルのイメージではなかった」と説明する。
まさに、値千金。知らないうちにガッツポーズが飛び出した。結果は、3打差をつけたものの、15番のグリーン横にあったスコアボードでは、4人が同スコアで並んでいることを確認。スタート前から、「バック9が大事。それ以上に残り4ホールが大事。17番のパー5までジッと待つ作戦でした」と振り返る。
JLPGAツアー4勝目は、これまでにない劇的な内容。18番、ウイニングパットを、「解き放たれた感じがした。第1打から気持ちが良いショットです」と語っている。飛躍が期待された21年。ところが、昨年の全米女子オープンからの不調が続く。
「USLPGAツアーを経験し、私に足りないものがたくさん目立つようになった。たくさん練習をして、クラブを選んで、試行錯誤を続けているうちに、ぎっくり腰などを発症。体が壊れ、自信がもてない。とにかく苦しい。すべてのことが、よくわからなくなった」とため息をついた。
続けて、「きのう、きょうもしんどかったです。クラブを振り抜いているのか、よくわからない。スポーツを続けていくうえで、体が資本-という意味を思い知らされた。これが何よりも勝る。(優勝してから)涙が止まらなかった」。1年ぶりの優勝会見で、すべての葛藤を吐き出した。
それだけに、「幸せです。うれしいです」の言葉に実感がこもる。次週は、連覇を狙う最終戦。「実は、10月から優勝するまでは、と禁酒で願を掛けた。ウイスキーが好きです。ようやく、解禁です」としながらも、ハッとした様子で、「(指導をうける)ジャンボ(尾崎)さんから、ふがいないと思われている。2連勝を報告したい」。80センチがもたらした幸運をかみしめた。
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