2022.3.4
首位浮上の黄 アルムのコラムでよみがえる
<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>
JLPGAツアー2022シーズン開幕戦『第35回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会第2日が3月4日、沖縄県・琉球ゴルフ倶楽部(6,590ヤード/パー72)で行われた。この日、首位へ浮上したのは67をマークし、通算8アンダーの黄アルム。1打差の通算7アンダー、2位は渡邉彩香がつけ、通算5アンダーの濱田茉優、堀琴音、西山ゆかりが追う。昨年の賞金女王、稲見萌寧は通算2アンダー、13位タイ。ディフェンディングチャンピオンの小祝さくらは通算2オーバー、48位タイから巻き返しを狙う。
(天候:晴れ 気温:18.1℃ 風速:2.0m/s)
《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:23mm》
奇想天外。黄アルムの会見に驚いた。「オフの練習をあまりしていない。コラムの執筆、動画の撮影などがあったから…。でも、そうした体験のおかげで、逆にプレーで集中できたかもしれませんね」。
それでも、1イーグル、5バーディー、2ボギーの67をマークした。当の本人が一番ビックリしていたのも当然か。とはいえ、話が進むにつれて、逆に引き込まれていく。とにかく、興味津々の内容だった。
発端は、韓国の新聞社でアマチュア向けのレッスン連載を依頼されたことだ。その後、動画も加えることを提案され承諾する。「コラムを書くなんて、人生初体験。どうすれば、アマチュアの皆さんの役に立てるのか、考えに考え抜いた。夜も眠れない。8回の連載ですけど、文字で人へ伝えるってすごく難しいことがわかった。記者の皆さん、本当にすごい。改めて、尊敬いたします」。
熟考の末、基本がいかに大切か-を改めて実感したという。「基本をひとつひとつ、チェックしました。その時、感じたのはツアーを戦っていて、いつの間にか自分の感覚だけでプレーしていたことです。約1カ月、コラムを書きながら、何回も基本を繰り返した。自然に体がどう動くかなど、忘れていたことを思い出した。おかげで、気持ちの整理までできましたよ。本当にためになった」と、しみじみと漏らしている。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
実は、自身の進退についても、思い悩んでいたのだ。昨シーズン、体の不調に悩み、成績がいまひとつ。「親しくしていた(キムハヌルなど)友だちが現役引退。私も成績が良くなかったし、体が動かないから、そろそろやめようと思っていた」と胸中を話した。しかし、基本へかえることで、もう一度、新鮮な気持ちでクラブを握ってみたい心境に変化。やはり、ゴルフが大好きだったことを再確認した。
新型コロナウイルス感染症のため特別保証制度が適用され、今大会から4試合の出場権があり、獲得賞金額が昨シーズンの50位以内に達すれば、今季の出場権を得られる。また、QTランキング6位で前半戦の出場権は獲得済み。「チャンスがあるから、精いっぱいプレーをします。今年はとにかく、後悔をしないようにする。将来のことは、そのあと考えればいい」。さながら明鏡止水の心境を取り戻した。
ただし、書斎派に徹したせいか、コースの調整は極めて少ない。「2ラウンドぐらいかなぁ」と笑っていた。とはいえ、JLPGAツアー通算5勝の実績があるテクニシャン。4番で披露した30ヤードのチップインイーグルなどは、基本を忠実に実践したからだろう。「上位で戦うことが楽しい。ドキドキするけど、そんな気持ちになれたことがうれしいです」。
原点回帰で、素晴らしい世界を実感した。迷い、悩んだら基本からやり直す。アルムのコラム。そして、動画は日本のファンにもぜひ、見ていただきたい-と言葉が弾んだ。
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