クール＆ホット　藤田さいき、よもやの2位

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

40th フジサンケイレディスクラシック　川奈ホテルゴルフコース 富士コース（静岡県）最終日

　最終組のひと組前でプレーした藤田さいきは、12番を終えて単独首位に立った。2打差をつけていることをリーダーズボードで確認すると、「これは勝てるのでは、ないかしら」。　

　ところが、想定外の現象が発生。アドレナリンが体内をかけめぐる。

　「気分がハイになった。優勝したい－という気持ちがあふれ出て、打球がすごく飛ぶ。ピンの奥、グリーンの奥へ、行くようになった。残念だけど、コントロールすることができない。いろいろ手を打ちました。でも、ダメ…」。優勝を勝ち取るために最大の努力をしたものの、勝負は非常だった。

　それでもあきらめない。第1日の奇跡をもう一度、と挑戦した17番も「まったく違う、逆風が吹いた」。第1打は左のバンカーへ飛び込む。結局、2打のアドバンテージを守れず、2位に終わった。

　それでも、「すごくいい感じ。（優勝者へ贈られる）白いジャケットを着られなかったことが、残念です。でも、すごく楽しかった」。11年10月の富士通レディース以来11年ぶりのVは次週以降へお預けだった。ただし、明るく、正直な胸中を明かしてくれたことが好印象。

　そして、36歳になっても、「まだパワーがあることがわかった」と、笑顔で語る。なるほど、ドライビングディスタンスは今季、穴井詩に次ぐ2位。平均飛距離252.50ヤードがその証明だ。

　2週前の富士フィルム・スタジオアリスは1歳下の上田桃子が圧勝した。「桃ちゃんも優勝した。優勝がものすごく近くに感じる」という。勝負は時の運。アドレナリンがVを運んでくる可能性だってある。

(JLPGAオフィシャルライター=宮脇　廣久)