2022.8.27
ベテラン大奮闘 藤田、上田-小樽で躍動中
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ニトリレディスゴルフトーナメント 小樽カントリー倶楽部(北海道)第3日
コースの各所で歓声があがる。死力を尽くすベテランの技がさえた。圧巻。藤田さいきの8番、残り145ヤードの第2打は7Iを選択した。「きっちりとラインを出すことができた。手応えは十分。カップインしたところは見ていません。でも、ギャラリーさんの大歓声でわかりましたよ」。トークをしながら思い出したのだろう。満面の笑みがまぶしく映る。
「もう、(今季の)2位は十分でしょう。あとは優勝…。あしたは、死ぬ気で頑張る」と言い切った。これほどの気迫を表すことが珍しい。今夏は初の海外遠征。全英女子オープンへ参戦した。ところが、予選落ち。「スコアの70が切れない。しかも、すぐに80を叩いてしまう。衝撃です。何もかも初めての経験でしたけど、途中からプレーがすごく楽しくなった」という。そして、「一度のチャレンジではもったいない。結果を出すためには、経験と準備が必要。また、行きたい」と意欲的だ。
ミュアフィールドといい、小樽といい、素晴らしいリンクスは新たなエネルギーを与えるらしい。「帰国してから、風を利用してラインをしっかり出す練習をしている。きょうも、できた-と思います」と振り返った。8番だけではない、大ピンチだった14番の第2打も、ため息が漏れるほどの素晴らしさ。
第1打が左へ。目前には木がそびえる。残り130ヤードをPWで「キャディーさんのリクエストが、木の上にフライヤーをかけて打って-でした。それにしても、よくグリーンをとらえたと思います」と、しみじみと語った。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
一方、上田桃子も負けてはいない。発奮の要因は意外なデータから。「第1日、60台のスコアが初めてですね…。エーッと思ったと同時に、悔しさがこみあげてきた」そうだ。苦手意識はなし。ただし、小樽ゴルフ倶楽部での今大会はベストスコアが71で、ワーストが78である。「最終日までに、必ずもう一度、60台でプレーすることが目標に加わった。とりあえず、きょうマークすることができて良かったです」と続ける。
その第1日からの課題がショット。「この2日間、私はドローヒッターだけど、ボールを右へうまく打ち出せない。きょうはレベルターンで体を回そうと心がけたら少しは良くなったかなぁ。0点のショットは1度。でも、まだ赤点ですよ」と、いつにもまして厳しい自己採点である。
ただ、この精神力の強さが厳しい状況を支えてきた。この日の真骨頂は、「苦手」と口にしていた16番を攻略したことだ。「第1打がフェアウェイの真ん中。そして、残り158ヤード、7Iの第2打でピン奥7メートルにつけ、しかも下りの難しいラインをしっかりと決めた。この1ホールだけで3-4ホール分の集中力をつかった気分。きのうまでのショットの調子では、とてもバーディーをとれる状態ではなかった。練習で100球できても、やはり試合で実践できないと自信にはならない。修正力など、これからのシーズンにつながります」と解説している。
ただし、続く17番を悔やんだ。「1メートルのバーディーチャンスを外した。気を抜いたわけではないけど、16番のバーディーでフーッとなったのかもしれません。こういうコースは、ちょっとの油断で足元をすくわれる。でも、17番の第1打は、初めて気持ちよくクラブが振れた。それが一番うれしかったなぁ」。いい笑顔で会心のショットを心へ刻む。大混戦のV争いへ、準備が整った。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
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