2022.11.12
苦闘→奮闘→激闘 新海美優プロ初V
<Photo:Buddhika Weerasinghe/Getty Images>
JLPGAステップ・アップ・ツアー2022シーズン第16戦『山口周南レディースカップ』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が11月12日、山口県周南市・周南カントリー俱楽部(6,542ヤード/パー72)で行われ、新海美優がプロ初優勝。勝負は通算2アンダーで並んだ藤田光里とのプレーオフ(PO)へ。POだけでステップ最長の8ホールへ突入する大熱戦を制した。
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日没が迫った。18番のプレーオフ8ホール目。新海美優は残り185ヤードの第2打を、花道へ運ぶ。続くピンまで25ヤードの第3打はもちろん、バーディー狙い。52度を握ると、一気に集中力が増した。
絶妙の表現がピタリと当てはまるようなアプローチである。ピンまで30センチだった。対する藤田光里は1メートルのパーセーブである。ところが、下りの微妙なラインでボギーを叩いた。
「もう、周囲が暗くてよく見えない。ウイニングパットは手が震えたけど決まって良かったです」という。「プレーオフ、すべてパーセーブ。お互い、絶対勝つ-そんな雰囲気がずっと続いた。とにかく必死です」といい、JLPGAツアーを含め、最長のプレーオフだったことを知ると、「すみません。まさか、こんな展開になるとは思ってもいなかった」とも。
また、大熱戦を見守ったギャラリーからは、「ここまで頑張ったのだから、2人に優勝してもらいたい」、「プロってすごいね」の声が漏れていた。ただし、勝者はひとり。それにしても、401ヤード・パー4の18番は難しい。距離が長いうえにグリーンが小さく、2番目の難度だった。それだけに、プレーオフでも2人はピンチでも、ナイスリカバリーを連発して、パーでしのいだ。
新海はプロ初優勝である。17年、賞金ランキング39位でシード権を獲得。ただ、それ以降は不調に加え昨年8月、背中痛を発症。「痛みがひどくて、起き上がれないこともあった。半年間ぐらい、クラブを握れないほど…」と漏らす。それだけに、「もうやめようか-と本気で思ったこともある。でも、私はまだ優勝だってしていない。しっかりと治療して、また一から…」と気持ちを新たにしたそうだ。
そうはいっても今年3月、練習を再開すると、「バンカーショットが得意だったけど、まったくダメ。飛距離もかなり落ちていた」。現実に直面したものの、スポンサー、担当医など多くの人たちのサポートと、「焦らない」のアドバイスを支えに復活を目指した。
もちろん、成績が示している。ステップの前2戦は3位タイ→4位タイとトップ5フィニッシュ。そして、ついに優勝をつかんだ。「こんな時に勝てるなんて不思議です。母が見にきてくれた。また、ラストチャンスだったから、優勝したいと切に願っていた」と明かす。
なるほど、今大会の優勝で次週の出場に加え、QTファイナルステージ進出が決まった。「急に忙しくなりました。うれしいなぁ」と涙がこぼれる。ちょっと時間をおいて、「きょうは(藤田)光里さんが相手だったから、最後まで頑張ることができたと思います。ありがとうございます」で、締めくくった。
これぞ、スポーツマンシップ。記憶に残る勝負である。気が付けば、週明け14日は27歳の誕生日だった。
<Photo:Buddhika Weerasinghe/Getty Images>
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