2022.11.17
鈴木愛、穴井詩 名手に注目
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
第41回大王製紙エリエールレディスオープン エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)第1日
今大会、勝手知ったる我が家のように−ともいえるだろう。鈴木愛は、08年から10回出場。何と2位は半数の5回で、3位が1回でトップ3フィニッシュを6回も決めている。なぜ、勝てない。これが勝負の不思議なところだ。
今回も上々のスタートを切った。前半だけで6バーディー。計11パットという文句なしの内容だった。「確かに好きなコース。四国で生まれ育ち、ジュニアの頃から何度もコースを経験している。おかげでグリーンの細かい傾斜など、すべて頭に入っています。第2打の狙いなど、イメージがすごく出しやすい。きょう、すごくよかったのは11番の第1打と第2打。これが私の理想というショットでした」と振り返った。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
それだけに一変した後半、バーディーなしの1ボギーが気がかり。「全体からすれば、ショットの内容は良かったけど、後半はいまひとつでした。でも、原因はわかっている。距離感です。切り返しのタイミング、インパクトの直前、力が左のおしりへ乗っていない。そのふたつ。それから、ツキがなかったことかなぁ…」と言葉を濁した。
というのは、プレー中にギャラリーの携帯電話の着信音が鳴るなど、リズムを狂わされるような出来事があったからだろう。それでもジッとガマン。実に気の毒だった。しかし、ショット以上に際立ったのがパッティング。さすが、名手である。計26パットで乗り切った。
前週の第2日からピン スコッツデールTRパイパーCを久々に使用。センターシャフトのマレットヘッドはストローク通りにボールが転がる-利点がある。パッティングが安定した証拠だ。バーディーを量産する頼もしいパートナーとともに、11度目の正直はもちろん、今季初Vを狙う。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
また、存在感をアピールした、もうひとりの実力者が穴井詩。パー5の9番、残り256ヤードの第2打を3Wで2オンに成功した。さらに4メートルのイーグルパットを沈め、続く10番から3連続バーディー奪取のおまけつき。「ハイライトは、やはり9番。すごく流れが良くなって、気持ちにゆとりが出た。また、替えたパターも頑張ってくれましたよ」と笑顔を浮かべた。
持ち味は類まれな飛距離。今季はドライビングディスタンス1位を快走中で、302.3ヤードを飛ばし、ドラコン女王へも返り咲いた。ところで、一見したところスリムな体形は飛ばし屋とは思えないが…。「筋力がすごいかといわれると、そこまでではない。周囲と比較すれば、少しいいなぁと思うのは柔軟性かなぁ。秘けつなんて、ありませんよ」と謙そんしている。
そうはいっても、飛距離アップはプロアマを問わず、永遠のテーマ。アベレージゴルファーへ、アドバイスをすれば、「練習は大事ですけど、それよりもストレッチを欠かさないことかなぁ。可動域を増やす。肩回りや上半身の捻転は欠かさずに。日々、続けていると違ってきます。ストレッチが基本でしょう」と力説した。
一方、今大会は大きな目標も。「シード争いがギリギリだし、リコーカップ出場も狙いたい。欲を言えばあと1試合あれば−良かったけど」と加える。最終戦出場は単独2位以内が必要だが、爆発力は人一倍。「今の感じでいえば、アプローチ、アイアンの精度など、すべてが物足りない。付け焼刃でもいいから、あすは急にうまくなっていないかなぁ。そう願って今夜、眠りにつきます」と締めくくった。トークも抜群。健闘を祈りたい。
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