2023.3.18
プラスワン2023~サイペイイン
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 鹿児島高牧カントリークラブ(鹿児島県)第2日
細心の注意を払って、目前の一打へ臨む。プレーの安定を求めるには、この方法が適切だった。「23年のテーマは成績を安定させる。そして、調子が悪い時の修正力を養うことです。私はショットメーカー。ささいなミスでチャンスを逃したくはありません」。では、具体的にどんな方法をとっているのだろう。
「打つ前に、しっかりとグリップを確かめる。ボールの位置なども同様。細心ですよ」と笑って話した。日本語をより巧みに駆使しながら、丁寧に取材へ応じる。細心という単語までさらりと口にする。向学心は人一倍だ。「ずっと日本でプレーしたい。それに、私はゴルフが大好きです。さまざまなことで努力を重ねるのは当然でしょう。去年、ツアー初優勝を飾ることができて、とてもうれしい。ただ、シーズンを通してみると、成績がまったく安定しなかった」と、反省しきりである。
というのも、34試合出場で、予選落ちが16回もある。年間平均ストローク72.5162、68位もいいとはいえない。オフは反省を踏まえ、今年のアプローチ方法をじっくりと考えた。トレーニング等はもちろんだが、より多くの試合を経験する計画を立てている。年明けから台湾ツアー、そしてオーストラリアンツアーを転戦。
意外といっては失礼だが、19年にはオーストラリアンツアーのQスクールを受験し、トップ通過を果たしている。「コロナ禍でここ数年は出場できる試合がなく、まだQスクールの権利があった。それで今年は申ジエさんが優勝したヴィックオープン。次週のTPSシドニーと、2週連続でエントリーした」そうだ。申のプレーを見ながら、「もっとゴルフを好きにならなければいけない。申さんに負けている」と気持ちを新たに。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ところが、シドニーでプライスレスの初体験が待っていた。この大会は男女混合。しかも、男子2人、女子1人が同組でプレーする。唯一、違うのは40-50ヤード手前のティーイングエリアだけだ。「会場へ行くまで、まったく知らなかったです。男子の試合へエントリーしてしまったのか-と本当に驚いた。でも、やるしかありません。試合で男子と一緒にプレーするのは初めて。必死で頑張った。だけど、楽しかったなぁ」と振り返った。
成績は女子で4番目の14位タイ。最終日には64をマークして、大いなる進化をアピールしている。「ほぼ同じところからグリーンを狙っても男子とは、使用するクラブがまったく違う。たとえば残り190ヤードでアゲンストの風が吹いていれば、私は3Wですけど、男子は5Iで低いボールを打つ。そんなことを話して、笑いながらプレーをした。小学校から英会話をコツコツと勉強したことが役に立ったと思います。日本でも、こんなスタイルの試合ができたら、すごく楽しいですよ」。しみじみと語った。
貴重な経験が今季は実戦でいきている。前日に続き、3パットのボギーが先行したものの、「きょうはグリーンのスピートがうまくつかめなかった。3番は7メートルから3パットだったけど、あのホールのおかげでボールの曲がり具合がつかめたと思う。うまく修正ができました」と前向きだ。
2011年に来日して12年。干支がひと回りした。ウサギ年は跳躍する姿から、飛躍の年になるともいわれる。3戦連続で予選突破を果たし、あすの最終日は通算4アンダーからひとつでも順位をあげる気構えが、より強くなった。4月27日は32歳の誕生日を迎える。日々、ゴルフを好きになるために、細心の心配りを欠かさない。
(青木 政司)
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