2023.3.30
15センチ&10グラム 鈴木愛、ゲキ変の理由
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第5戦『ヤマハレディースオープン葛城』(賞金総額1億円/優勝賞金1,800万円)が3月30日、静岡県袋井市・葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(6,480ヤード/パー72)で開幕した。大会第1日は好天に恵まれ、大混戦。5アンダーでささきしょうこ、鈴木愛が首位に立った。1打差の4アンダー、2位タイは岩井千怜、蛭田みな美。6位タイの3アンダーに葭葉ルミ、吉田優利、2週連続Vを狙う山内日菜子など8人がつけている。
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《グリーン=スティンプ:10 2/3フィート コンパクション:23.5mm》
ノーボギーは特効薬。鈴木愛が67をマークし、好スタートを切った。「ショット、パッティングの調子がすごくいい。当然、コースマネジメントもよかった」と、満面に笑みを浮かべ、今季初のノーボギーラウンドを振り返る。この日は10番スタート。12番で2メートルのバーディーパットを決めた。しかし直後の13番で一転、ピンチを迎える。
「第1打が左へ…。打ち上げホールですから、もしかしたらOBかもしれない。暫定球を打ったけど、助かった」。ハッと思い出したように話している。ただし、ショットのピンチといえば、この一度。こんなことがあった。
「アドレスをして、前傾が深いことを指摘されました。そこで若干ですけど、ボールに近づいて。そうしたら、ショットが安定しました」という。ちなみに、若干とは15センチ程度。
とはいえ、体調の良化も見逃せない。2週前は背中と腰痛が原因で試合を欠場。「通院して注射をしたら、かなりいい。ただ、首や肩の張りがなかなか取れなかった。そこで先週の23日、トレーナーから8年ぶりに針治療を受け、28日にも行ったら体の調子が整ったというか、気分まですっきりしましたよ」と打ち明けた。
<Photo:Kenta Harada/Getty Images>
となれば、勝負師の勘もさえるというものだろう。生命線のパッティングまで上昇カーブを描く。「前週は予選落ち。でも、調子が悪いわけではなかった。ショートパットの時、ボールの転がりが思ったようにいかない」。モヤモヤが続いたのだ。ところが今大会の前に、パターヘッドへ鉛を張ると見事に解決。
「ゆったりしたタイミングでストロークすると、しっかりと思い通りにボールが転がる。たかが10グラムだけど、バカにできない10グラムです。きょうはリズムを崩さないように気をつけたら、いい感じでカップインできました」。まるで、つきものが落ちたような感触なのだろう。
後半も4番=4メートル、5番=2メートル、8番=2.5メートルのバーディーチャンスを危なげなく決めている。自身、77回目のノーボギーラウンドは忘れられない1日になったことだろう。
さらに、もうひとつ。過去のデータを調べていると、意外なことに気がついた。通算21ラウンド目の今回が、葛城ゴルフ俱楽部初の60台のスコアである。15センチ、10グラムがVの原動力へ。ゴルフは何とデリケードで不思議なスポーツか-を改めて思い知らされた。
(青木 政司)
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