2023.5.11
吉田優利『勝っても考えた』『優勝争いをしたい』
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
RKB×三井松島レディス 福岡カンツリー倶楽部 和白コース(福岡県)
冷静沈着。吉田優利の強さの秘密がここにある。自身の理想とするプロフェッショナルを構築し、着実に実践。目前の一打に集中することは当然だが、パッと切り替えて次を目指している。
7日、待望の公式競技を初制覇。しかも、風、雨、寒さ、厳しいセッティングなど困難な条件が重なる4日間だった。となれば、翌8日ぐらいは休養に充てるのは当然かもしれない。ところが-。
いつものように辻村明志コーチのもとで練習を行った。「7日に気がついたことのフィードバック。どれだけ、いいプレーができるようになるか、です。すべてにおいてレベルアップをしたいから」と話した。
最終日のバック9。パー5・12番の第2打である。レイアップするマネジメントだけに、第3打が勝負だったが、そこへ至るまでのプロセスが納得いかない。7Iを選択した第2打へ違和感を覚えた。「スイングの動きがバラバラ。かろうじて小細工をし、何とかフェアウェイをキープした。でも、あのままならどうなっていたか…。極限の状態だったけど、いつも練習している7Iです」。
結果は前3日間がパーセーブだったものの、ようやくバーディー奪取へ成功する。結果オーライで済ませないところが、いかにもこの人らしかった。さらに冷静になった後日譚は、説得力があり、話をうかがいながら何度も頷いてしまう。猛追したベテラン勢を突き放すパワーになった。
「あの(第2打)ままだったら、どうなったか。あそこで気がついたから優勝できた」と、しみじみと語っている。続けて、「悪い状態を何ホール目で気づくことができるか。上手な選手はもっとはやい。その意味でとても良い修正ができたと思います。一日を悪いままで終わらせない。プロとアマの違いともいえますね」と説明を加える。
その上で、「試合はたまたま公式競技だったけど、欲をいえば、あのショットをしないで終わりたかった。勝っても考える-そんな感じでしたね」と本音がこぼれた。今週末もさらなるジャンプアップを狙って真剣勝負。「コースは何となくいいイメージがある。福岡が好きなせいかもしれません。疲れはありません。優勝争いがしたい。そういう状況でベストをつくすだけですね」と、どっしりと構えているように映ったのは、春のビッグタイトルがもたらす副産物かもしれない。
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