正念場はここから　小祝さくら『目標は複数回優勝』

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

大東建託・いい部屋ネットレディス ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ（福岡県）

　ここからが正念場。2試合連続優勝を狙う小祝さくらは後半戦のスタートを前に、2週連続優勝？何も考えていなかった」と、ちょっと驚いた表情を浮かべながら、こんな胸中を披露した。

　「福岡について、北海道は涼しかった－到着して最初に頭へ浮かんだことです」。そして、「シーズンの中盤が最も苦しいところです。いつも後半戦になると、成績があがらない。暑さも克服しなければならない。残りが、あと10試合ちょっとになればゴールが見えるから、疲れが飛んで行ってしまう。ここからです。とりあえず、複数回優勝が目標になる。前週も休んでいたわけではない。調整をしながら、いい気分転換ができた。だけど、一度休むとあと半年ぐらい（休みが）あったらなぁと思う。世界一周旅行などにも行ってみたい」と、壮大な夢まで語っている。

　一方、今季初Vとなったミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップには、いかにもこの人らしいエピソードがあった。実は、大会前、自宅のテレビが故障するアクシデントが－。となれば、新しいものを購入すればすむことだが、こんな情報が耳へ飛び込んでくる。開幕前日に開催される、プロアマ大会の優勝賞品がテレビだった。もちろん、大いに気合が入ったものの、5位。その無念をバネに待望の地元優勝を成し遂げたのだ。

　その期間中、「私の特技は気配を消せること。たとえば、食事をしようと人気店で行列へ並んでも、気づかれることはありません」ともらした。とはいえ、優勝の翌週、都内の家電量販店へテレビを購入した時のこと。

　スタッフからさまざまなセールストークを聞いて、考える。確かに、テレビはひんぱんに買い替える消耗品ではない。それだけに、考えをまとめるために一度、その場を離れた。ところが再び、テレビコーナーへ戻ると、意外なものが画面に映っていた。何と、ミネベア最終日のVTRである。これにはさすがにビックリ。もちろん、購入を決めたそうだ。何ともほほえましい後日譚が加わった。

　さて、肝心な調子はどうか。「まぁ、ボチボチという感じです。今回は初めてのコース。やはりパッティングがポイントでしょう」。試合では気配を消さなくてもいい。プロフェッショナルに徹するだけである。

（青木　政司）