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2023.8.5

スーパープレーを連発 鈴木愛-ファンのためにV

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第22戦『北海道 meiji カップ』(賞金総額9000万円、優勝賞金1620万円)大会第2日が8月5日、北海道北広島市・札幌国際カントリークラブ 島松コース(6593ヤード/パー72)で行われた。この日も大混戦。鈴木愛が通算10アンダーとスコアを伸ばし、首位に立った。1打差の通算9アンダー、2位タイはささきしょうこ、川﨑春花。通算8アンダーで小祝さくらが続く。
(天候:曇り 気温:28.8℃ 風速:4.7m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:22mm》

 絶対にチャンスが来る。鈴木愛はひたすら忍耐を続けた。「ツキがない。そう感じることがたくさん。ボールに泥がついて、ひとつ間違えば大けがをするピンチが結構あった」と大きなため息をついた。ところが、そんな局面でより集中力がアップ。なぜか、ファンの熱視線を感じたからだ。

 「兵庫、大阪から女性のファンが駆けつけてくれています。前週も、あれだけの猛暑にもかかわらず、私のために応援を…。本当によく来てくださって、去年の今大会も期待に応えられなかった。今回は私のためにではない。ファンのために優勝したいと思う。そんな気持ちになったのは生まれて初めてです」。自身を鼓舞し続けた。

 最大のピンチは5番。第2打をグリーン右へ外す。残り11ヤードから58度で、絶妙のリカバリーを披露。「練習でもおそらく、10回やってもうまくいくのは1回ぐらい。グリーンは下りだし、3メートル以内なら上デキ。それが1メートルに寄せることができた」という。ショットの精度を欠いた前半だが、耐えに耐えた。

 流れをつかんだのはパー5の12番。第1打がフェアウェイ中央の木に当たり、ボールが後ろへ転がった。残り291ヤードの第2打。3Wを選択したが、「ボールの左下に泥がついていて、右斜面へ…」。しかし、ここでも視線のエールを感じた。残り108ヤードの第3打はPW。ボールはピン方向へ向かい、落下してカップへ吸い込まれた。まさかのイーグル奪取。一気に上昇ムードである。15番ではピン手前から8メートルのバーディーを沈め、最終18番でも2メートルのバーディーで首位へ浮上した。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 一方で、今大会は優勝こそないものの、相性はいい。過去4回出場ですべてがトップ10。しかも、前3回は最終日、最終組でプレーをしている。「前週は首位で最終日を迎えたけど、体力がいまひとつで、私らしいプレーではない。セーフティーに行こう。そんな気持ちがあった」と本音を漏らしている。

 反省を踏まえて、ファンのために-となったそうだ。「絶対、60台のスコアでプレーしなければなりません。混戦の展開だから3-5アンダーは必要でしょう。あすはパーオンにこだわる。グリーンに乗せて、バーディートライの場面を一度でも多くつくります」と話した。

 ファンのために尽力する。これも、プロフェッショナルの証明。スーパープレーには、見えないパワーが隠されていた。

(青木 政司)

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