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2023.9.7

山内日菜子-逆境で再び

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン公式競技・第2戦『日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯』(賞金総額2億円、優勝賞金3,600万円)が9月7日、長崎県長崎市・パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(6,755ヤード/パー72)で開幕した。5アンダーの首位は稲見萌寧、山内日菜子、西郷真央。1打差の4アンダー、4位タイでペソンウ、菅沼菜々、小祝さくら、山下美夢有、岩井明愛、イミニョンが追う。
(天候:晴れ 気温:31.5℃ 風速:7.0m/s)
《グリーン=スティンプ:9 1/3フィート コンパクション:20mm》

 プロ8年目の覚醒。山内日菜子は今大会、2年ぶり3回目の出場だ。しかも首位。感想を聞かれて、「そうですね・・・」と、沈思黙考してしまったのは意外だった。そして、「疲れました」と絞り出すようなひと言が、とても印象的。これが公式競技ということだろう。

 この日は10番スタート。3バーディーを奪った前半で、値千金はパー3・海越えの12番だった。6Uでピン右2メートルのバーディーチャンス。「私が打つ時、強い風が少しだけおさまってくれた。クラブをひと番手あげ、しっかりショットを打って本当に良かったと思う」という。 

 幸運が味方をしたのは、12番だけではなかった。3番、あわやOBのシーン。ボールが木に当たり難を逃れた。ただし、油断は禁物。予選落ちに終わった、過去2回の経験を踏まえての教訓だ。「メジャーだから-と気合を入れすぎても空回りをしてしまう。意識はしません」。淡々とプレーした。

 後半も3バーディーを奪取。しかも、ノーボギーで切り抜けた。自身がベストプレーにあげたパー3・8番のバーディーが素晴らしい。8Iでピン右手前6メートルへ。大きなマウンドを超えるフックラインは超がつくほど難しい。「タッチを合わせてうまくストロークできた。とてもいい感じです」とご満悦の様子。

 再び、上昇ムードへ転じた証拠である。前週は50位タイ。2週前まで、5戦連続の予選落ちだったことが信じられないほどだ。「予選落ちが続いた時は、丁寧に考える時間がたくさんとれた、と思っています。でも、その間は悪いことばかりではありません。成田美寿々さんから、ご指導いただくことができた」と、うれしそうに語った。パーオン率アップのため、ライン出しを学び、特にアイアンショットの精度が上がったそうだ。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 「元々、風が吹くコースでのプレーは嫌いではありません」。大一番で成果を実感した。とにかく、逆境に強いことが特性だろう。「去年、QTで失敗して、目の前が真っ暗。しばらく、何をしていいかわからない。そんな時でも、家族やトレーナーさんなど、多くの方が支えてもらいました」と振り返る。今季はQTランキング181位からの大逆襲。推薦出場のアクサレディス宮崎でJLPGAツアー初優勝を飾っている。

 人柄がうかがえるエピソードを明かした。常に身の丈の目標で精進を続けている。「SEKAI NO OWARIが大好きです。最終プロテストを合格したら、ファンクラブへ入会しようと頑張った。それが叶ってから、今度はプロで優勝したら、ピアノを買おう-がターゲット。17年、ハナサカレディース ヤンマーゴルフトーナメントで勝つことができたから、6万円の電子ピアノを勝って、練習をはじめた。まったく経験がない。でも、動画を見ながら独学で何とか1曲目をマスターし、今では4曲になった。すべてSEKAI NO OWARIの曲です。自宅でピアノへ向かうことが唯一、気分転換かもしれませんね」。

 終わりはゴールではない。始まりなのだ。この日、絶好のスタートを切った。いつもと変わらない笑顔が、好調を物語っている。

(青木 政司)

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