2023.9.9
蛭田みな美 Vをつかんだ呼吸の極意
<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>
日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)第3日
18ホールでバーディーチャンスが10回。しかし、蛭田みな美がモノにしたのは、2度だけだった。2割の確率はプロとしてとても満足できるものではないが、この日の状況からすれば仕方がない。むしろ、上位選手が悪戦苦闘した後半、ノーボギーで終わったことを評価すべきだろう。
強烈な印象を残したのは、平均3.5270と難度ナンバーワン、17番。パーセーブの選手は50%だった。左上10メートルから、ファーストパットを6メートルもオーバー・・・。その返しを鮮やかにカップインさせている。「すごく難しい。でも、何とかパーセーブできて本当に良かった」。
これがプロ8年目で待望のツアー初Vを飾ったCAT Ladies 2023で会得した、パッティングの極意である。「ガツガツ行かない。特にパッティングはいいラインでも、タッチをあわせる程度の感覚でストロークをしたら、なんとなくカップイン。こういう感じなら、いいんだなぁ、と-大きなきっかけになった」という。
それ以降、好調が続いている。とはいえ、日々の反省も忘れない。
「グリーンがめちゃくちゃ速い。きょうは第1日から3フィートは速くなっている気がした。後半は、特に。それだけに前半の4、9番が悔やまれます。1メートルのバーディーチャンスを2度、外したから・・・」。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
一方で、心がけているのは呼吸。「ニチレイレディス、アース・モンダミンカップでキャディーをしてくださった森本(真祐)さんから、ため息をつきすぎる-そういわれて。私にはわからなかった。それから気をつけている」と話した。ため息をつくと幸せが逃げる、といわれることもある。ただし、ため息には、バランスが崩れた自律神経の働きを回復させるリカバリーの役割を担う。
要は、同じため息でも見た人ががっかりしているなぁ、と見えないようにすればいいだけのことだ。「ピンチが少なくなった」と、目に映らない意識改革のひとつ。効果は大きい。
一喜一憂した表情を最後まで見せなかった。「最終日は、チャンスで決められればいいですね」。満面に笑みをたたえて、締めくくる。好感度がまた、上がった。
(青木 政司)
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