2023.9.29
菊地絵理香、56度目の挑戦で公式競技初制覇を狙う
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン公式競技・第3戦『日本女子オープンゴルフ選手権』(賞金総額1億5,000万円/優勝賞金3,000万円)大会第2日が9月28日、福井県あわら市・芦原ゴルフクラブ海コース(6,528ヤード/パー72)で行われた。18ホール最少スコアタイとなる64で回り、通算10アンダーまでスコアを伸ばした菊地絵理香が首位に立った。3打差の通算7アンダー、2位タイに原英莉花、岩井明愛、稲見萌寧、青木瀬令奈が並ぶ。さらに、1打差の通算6アンダーに川岸史果、吉田優利が続いている。
(天候:雨のち晴れ 気温:26.1℃ 風速:3.9m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/3フィート コンパクション:22mm》
今大会には過去17回出場して2位が2回、3位が1回と辛酸をなめてきた菊地絵理香が、パー72では大会最少スコアタイ記録となる64をマーク。通算10アンダーまでスコアを伸ばし、一気に単独首位へと躍り出た。
「そんなに調子が特別いいわけじゃないんです。なんとなくフェアウェイをとらえ、(自分の番手と)ピッタリの距離が残ったホールで(ショットを)ピッタリつけ、それが入りました」と、菊地自身は分析するが、2つのボギーがあったとはいえ、バーディーを10個取ったわけだから、好調だったのは間違いない。
にもかかわらず、あえて好調のことばを発しなかったのは、自分を戒めるためでもある。というのも、前日4アンダーペースでラウンドしながら、最終9番・パー4でダブルボギーを叩いていたからだ。「ラウンド中は好スコアでも絶対に浮かれちゃいけないと思ってました。必ず罠が待っていると」。もちろん、第1日も気を引き締めて回っていたのだが、9番ホールにはフェアウェイのちょうどティーショットが落下する地点に一本松が植えられており、それがスコアメイクに影響を与えたという。この日も一本松を避けようとしてティーショットを左へ曲げたが、運よく木に当たってバンカーに落下。ピンまで145ヤード残ったが、7Iでグリーンをとらえると、10メートルのバーディーパットを沈めた。ある意味ラッキーバーディーだったといえるだけに、やはり残り2日間でもキーホールになりそうだ。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
菊地にとって今大会はツアーの中で最も悔しさが残るトーナメントでもある。最終日、最終組で回ったことは13、15、18年に過去3度あるが、それぞれ2位タイ、2位タイ、3位に終わり、勝利にはあと一歩届かなかった。それが公式競技なのだから、悔しさも余計に募る。「私の中で公式競技を制するのは、たくさん経験して勝利をつかむものだと勝手に思っていましたが、ここ4-5年を見ると、そんなことはないみたいで・・・」。確かに今大会に限らず、過去5年の公式競技での優勝者は20代前半の選手が大多数を占める。「やっぱり取れるときに取っておくことが大切なんだなと。ぜひこのチャンスを生かしたいですね」と、考え方を変えて積年の悔しさを晴らすつもりだ。
もちろん、そう簡単には勝てないことも分かっている。「いいスコアが出だすと止まらない選手がたくさんいますからね」と、警戒する選手は少なくない。そのためにも現時点の3打リードを少しでも広げて最終日を迎えたい気持ちは強い。ここまで公式競技には55試合出場し、ことごとく跳ね返されてきた菊地。56度目の挑戦で優勝を飾ることができれば、01年に島袋美幸が公式競技42試合目にして優勝した試合数を大幅に上回る。残り2日間、ベテランの意地とプライドを賭けて戦うつもりだ。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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