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2023.10.1

原英莉花、圧倒的な強さで公式競技3勝目を飾る

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン公式競技・第3戦『日本女子オープンゴルフ選手権』(賞金総額1億5,000万円/優勝賞金3,000万円)大会最終日が10月1日、福井県あわら市・芦原ゴルフクラブ海コース(6,528ヤード/パー72)で行われ、首位でスタートした原英莉花が通算15アンダーで逃げ切り、優勝を飾った。原は今大会2勝目でツアー通算5勝目を挙げたが、そのうち3勝が公式競技での優勝となった。通算12アンダー、2位は菊地絵理香。木村彩子、青木瀬令奈が通算8アンダー、3位タイ。
(天候:雨のち晴れ 気温:24.8℃ 風速:2.4m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/4フィート コンパクション:21.5mm》

 2位の菊地絵理香に3打差をつけて迎えた最終18番・パー5。そのグリーン上で50センチのウイニングパットを沈めた後、右拳を高々と掲げた原英莉花。出場選手の中で唯一4日間とも60台をマークし、通算15アンダーで自身3年ぶりの今大会2勝目を飾った瞬間だった。「憧れの大会で2度も優勝カップに自分の名前を刻めたのは本当に嬉しいです」と笑顔を見せた原。今大会だけでなく、20年にはJLPGAツアー選手権リコーカップも制しているため、公式競技では3勝目となる。

 大会前、海からの風や長いラフ、小さいグリーンなどコースセッティングはかなり厳しくなることが予想された。しかし、思ったほど海からの風は強く吹かず、決勝ラウンドに入ってからは雨も降ったことで、グリーンはそれほど硬くはなかった。ピン位置を端に振ることで難度を上げていたが、飛距離が出る選手は短いクラブでピンをデッドに狙うことができる。フェアウェイさえとらえれば、スコアを伸ばせるチャンスが十分あった。今大会の原はまさにそのゴルフに徹したといえる。

 4日間のフェアウェイキープ率こそ69.6429パーセントと決して高くはなかったが、飛距離が出る分、多少のラフでもグリーンを狙うことができた。もっとも、左右に大きくブレることもなく、ファーストカットで止まっていたホールも少なくなかった。原といえば、ツアーでも飛ばし屋の部類だったが、腰に違和感を覚えてからは飛距離が落ちていたという。「今にして思えば、右足をずっと使えていなかったんだと思います。飛ばしには右足の出力が大切なのに、腕の力に頼っていたのかなと」。バックスイングで上体を十分に捻転し、パワーを貯める。そのパワーをダウンスイングからインパクトにかけて解放することで飛距離を稼いでいたが、その際右足の蹴りを使うことができなかった分、出力が下がっていたのだろう。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 腰痛ヘルニアの手術を行い、腰に不安なくスイングできるようになったが、しばらくその感覚を見失っていた。しかし、前週のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンの第1日、13番ホールでドライバーショットを放ったとき、以前のようなスイングができたという。「上体の捻転と右足を使う動きが連動したことで、飛距離だけでなく、ショットの再現性も高くなっていると思います」。要するに、飛んで曲がらないドライバーショットを手に入れたわけだ。

 それが今大会、特に決勝ラウンドに入ってから効果を発揮する。代表的な例が548ヤードある5番・パー5だ。前日に続き、この日も完璧なドライバーショットを放つ。地面が濡れ、ピンが奥にあったことで234ヤード残ったが、それを3Wでピン左上5メートルに乗せてイーグルを奪う。このホールに限らず、決勝ラウンドの2日間でパー5を8回プレーしたが、それだけで8アンダーの荒稼ぎだ。パー5を制したことが勝因となったのは間違いない。

 原のボールには今年から『readiness』という文字が入っている。「覚悟とか、これからという意味で、強い気持ちで戦い抜くことを込めて入れました」。まさにこの4日間は強い気持ちで戦い抜いた原。メルセデス・ランキングも20位に浮上したが、残り8試合でさらに調子を加速させるつもりだ。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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