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2023.10.15

櫻井心那、史上3人目の10代でのツアー4勝

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第32戦『富士通レディース』(賞金総額1億円/優勝賞金1800万円)最終日が10月15日、千葉県千葉市・東急セブンハンドレッドクラブ西コース(6697ヤード/パー72)で行われたが、10時54分にコースコンディション不良のため競技中止が決定した。その結果、前日まで通算12アンダーで単独首位だった櫻井心那が優勝。今季4勝目を飾った。1打差の2位タイに岩井千怜と阿部未悠。

 04年の宮里藍、18年の畑岡奈紗に続き、JLPGAツアー史上3人目となる10代でのツアー4勝目を飾った櫻井心那。宮里と畑岡は高校3年時に初優勝を飾ったため、櫻井よりもインパクトは強かったが、1シーズンで4勝を挙げた櫻井も偉業を達成したといえるのではないか。そんな記録的な勝利は思わぬ形で転がり込んできた。最終日のラウンドがコースコンディション不良のために中止となり、2日目までの成績で決定したからだ。

 「やっぱり3日間全部戦って勝った方が自信にはなったと思いますが、2日目にスコアを伸ばし切ろうと思い、しっかり伸ばして首位に立てたのは大きかったと思います」。たとえ競技が短縮されようが、優勝は優勝だ。しかも、第2日は63をマークしているだけに、むしろ胸を張るべきだろう。結果的に勝利を決定づけたのは、最終18番パー4でのバーディーだった。9メートルのフックラインを決めたが、このパットがカップに消えていなければ、また違う結果になったかもしれないだけに、大きな1打となった。「前日がボギーだったのでバーディーを取りたかった気持ちもありますが、後続の組がスコアを伸ばしてくるだろうと思っていたし、ここで取っておけばチャンスがあるかなと」。まさに、勝利に対する執念が呼び込んだ1打となった。

 今季最多タイとなるシーズン4勝目を飾った櫻井だが、この4勝目には大きな価値がある。櫻井にとって今季最大の目標だったのは地元長崎で開催された日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯を制することだった。そのために、シーズンオフから開催コースのパサージュ琴海アイランドゴルフクラブを何度も回ってきたし、シーズン中も100ヤード以内の精度を上げるなど、ゴルフのレベルアップに勢力を注いできた。実際、同大会の前週に開催されたゴルフ5レディスで3勝目を飾り、万全な仕上がり具合を見せていたが、まさかの20位タイに終わった。そのショックもあり、その後はトップテンに入ることすらできなかった。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 「ホントに調子が悪くて、ゴルフ場にも来たくない感じで、落ちていたというか、気持ちが入らなくて辛い時期でした」。大きな目標を失った辛さは本人でなければ分からないだろう。しかし、何とか自分の気持ちを奮い立たせようと必死で自分のゴルフに取り組んだ。

 「1勝したい気持ちや海外で活躍できるようになるために、もっと上手くならなきゃいけないとか、そういう気持で練習量も増やしました」。だからこそ、今週の練習日にボールの位置が本来の定位置よりも左寄りにあったことに気がついたといえる。

 将来的には米女子ツアーに挑戦したい気持ちもあるという櫻井。そのためにも複数年シードを得られる公式戦制覇は魅力的だ。今季の公式戦は最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコー杯のみとなったが、辛さを乗り越え、勝利を呼び込んだだけに、ワンチャンスをものにする可能性は十分ある。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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