2023.10.29
ボミのレガシーで初V リハナ-大接戦を制す
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第34戦『樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が10月29日、埼玉県飯能市・武蔵丘ゴルフコース(6,650ヤード/パー72)で行われ、リハナが大混戦を制しツアー初優勝を飾った。勝負は通算9アンダーで並んだ、リ、仁井優花、山下美夢有の3人プレーオフ(PO)へ。今季10回目のPOは1ホール目でリがバーディーを奪い、プロ3年目で悲願を達成した。
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《グリーン=スティンプ:12 1/4フィート コンパクション:24.5mm》
勝負勘がさえた。リハナは5打差を大逆転し、第1のターゲット・JLPGAツアー初優勝を手中に。スタート前はノーマークの存在だった。それがクラブハウスリーダーとなって、残り2組の行方を見守るシーンが印象に残る。
同期の荒川怜郁などと談笑し、キャディーと一緒にスナック菓子をつまんでいた。「高い集中力を保つためには、この方がいい。だって、きょうの18番、素晴らしいプレーができたでしょう」。残り25ヤードの第3打はグリーン左下のバンカーからだった。決してやさしい状況ではない。それでも、こん身のショットはピン1メートルへ。見事なバーディーの舞台裏を語った。
「今大会は私と相性がいい。去年も7位タイ。それから、7番の第2打が、いいバンカーショットでしたから、自信をもって打つことができた。毎日、3アンダー。トータル9アンダーを目標にしてきた。だから、もうひとつ-」。
3人が争ったプレーオフも、勢いをそのままに、という表現がピタリと当てはまる。ただひとり、2オンへ成功。ピンから7メートルを2パットでバーディーを決めている。「今回は週初めから優勝する準備を整えた。おかげで高い集中力をキープすることができました」と、あっさりした口調だった。
というのも、2週前からプレーが劇的な変化を遂げたから。「飛距離がグンとのびた。10-15ヤードは違います。2週前、フィッティングをして1W、3Wなどウッド系を一新しました。1Wは長さを0.75インチ長く、46インチに。シャフトもすごく合っているからクラブが振りやすくなった」そうだ。
この日は飛距離自慢の岩井姉妹と同組でプレー。「以前、一緒にまわった時と、距離の差がとても少なくなった。キャディーさんとそんな話をしながらでしたよ」と、十分な手応えを得ている。加えて、継続してきた筋力トレーニングの効果も、目に見えてきた。後ろ姿を拝見していると肩幅が広くなり、筋肉が際立つ。「今年の冬、もっともっとトレーニングを積んで、平均250ヤードまでもっていきたい」が目標だ。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
一方、自身のアピールポイントを質問され、即答したのはメンタルの強さ。「どんなすごい方と一緒にプレーしても、まったく意識しない自信があります。過去2回、ステップ・アップ・ツアーでプレーオフを経験。その時も相手を意識しないで集中力を高めたら、勝つことができた」とも話す。
それだけに、目標とする選手は、「いません」といい、最終目標は「USLPGAツアーで、すごい選手になることです」と、きっぱり言い切っている。日本で暮らす両親と離れ、韓国でひとり暮らしをした経験なども、精神力の鍛錬には役に立った。
とはいえ、唯一の例外がいることを思い出した様子。「(イ)ボミさんのような選手になりたいです。ボミさんが関係者の方、ファンの方へ接する態度を見ながら、私なりに勉強してきました。大好きです。でも、実際にお会いすると緊張してしまって、ごあいさつをするだけ。日本ツアーを引退することが残念でなりません」。終始、浮かべていた笑顔がなくなった。
優勝が決まって、表彰式から何度も「ありがとう」を繰り返している。50回までカウントしたが、途中で断念。引退試合の翌週、リハナは結果を出した。ボミのレガシーはしっかりと受け継がれている。
(青木 政司)
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
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