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2023.11.4

神谷そら、価値ある18番の池ポチャボギー

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

TOTO ジャパンクラシック 太平洋クラブ美野里コース(茨城県)第3日

 前日のラウンド後、同組でラウンドした世界ランキング12位のリン ジーユウから「飛距離が出るし、プレースタイルが好きだ」と絶賛されていた神谷そら。そのコメントに応えるかのように、この日も17番ホールを終えて8バーディー、ノーボギーと順調にスコアを伸ばした。首位に1打差の通算19アンダーとして迎えた18番パー4。バーディーを奪えば首位で最終日を迎えるチャンスまであったが、まさかの出来事が待ち受けていた。

 ティーショットがファーストカットとラフの境目に止まり、ボールはスッポリと芝の中に埋まった状態に。それを見た瞬間、嫌な予感がした神谷。ピンまで残り142ヤードあったが、状況から考えて距離は出ないと感じたからだ。しかもグリーン右手前には池が広がっている。たとえグリーンをとらえることができなくても、池にさえつかまらなければOKだと思ってアドレスに入った。

 ところが、9番アイアンでグリーンの左サイドを狙ったショットが、池に向かってボールが飛んで行くではないか。ボールは一度池を越えたものの、不幸にも跳ね返って池の中へと消えていった。幸いだったのは一度池を越えていたことで池の手前から打たずに済んだことだろう。ピンまで25ヤード地点にドロップできたため、寄せて1パットならボギーで済む。

 「たぶんピンの手前で止まることは難しいかなと。とりあえず次のパットをどこから打てばいいのかを考えました」。その答えが、素直にピンに向かってボールを打っていくことだった。たとえピンをオーバーしても、その際にラインが見えるため、返しのパットを打ちやすいと判断したからだ。4‐5メートルのオーバーは覚悟していたが、ボールが予想以上に転がり、約7メートルのボギーパットを残す。それでも、神谷にはそのパットに対する嫌な感じはなかった。練習ラウンドの際にそこからのラインを確認していたことが大きい。「曲がりを薄く読みたくなるラインでしたが、思ったよりフックすることを知っていたので、そのイメージを大切にしたら入ってくれました」。まさに“備えあれば憂いなし”の心境だろう。通算18アンダーは首位と2打差だけに、十分逆転圏内だ。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 そんな神谷だが、前日はちょっとだけ勇気を振り絞ったという。「自分は英語を上手く話せないので、初日は同組の選手に話しかけられませんでした。でも、せっかくこういう大会に出ているので、2日目は思い切って話しかけてみたんです」。その相手がリンだった。神谷が理解できなかった言葉でもリンが言い換えたり、ゆっくり話してくれたことでコミュニケーションがとれたという。同時に、リンが100ヤード以内からでもピンそば2-3メートルにつける技術も勉強になった。「充実した1日でした」と笑顔を見せていたが、それがこの日の好スコアにもつながったといえる。

 昨年のプロテストでは1位で突破した神谷。あれからちょうど1年経過したが、USLPGAツアーの試合でも優勝を狙えるほどまでに成長したことは間違いない。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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