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2023.11.4

桑木志帆、成るか前人未到の日・米ツアー同時初制覇

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 日米両ツアーの選手が出場するUSLPGA公式戦『TOTO ジャパンクラシック』(賞金総額200万ドル/優勝賞金30万ドル)大会第3日が11月4日、茨城県小美玉市・太平洋クラブ美野里コース(6,598ヤード/パー72)で行われた。首位タイでスタートした桑木志帆、畑岡奈紗がともにスコアを6つ伸ばし、通算20アンダーでトーナメントリーダーの座を堅守。1打差の通算19アンダー、単独3位には稲見萌寧がつけ、さらに1打離れた通算18アンダーの単独4位に神谷そら。
(天候:晴れ 気温:21.5℃ 風速:0.3m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/2フィート コンパクション:23.5mm》

 スタート前、桑木志帆はある緊張感に襲われていた。JLPGAツアーで未勝利の選手がいきなりUSLPGAツアーの試合で首位に立ったわけだから、不安な気持ちになるのも当然と思いきや微妙に異なる。「このコースはビッグスコアが出るので、今日スコアを落としてしまうと最終日に巻き返すのが難しいと考えたからです」。バーディー合戦の試合展開を予想し、確実にスコアを伸ばさなければいけないという気持がプレッシャーとなったのだ。裏を返せば、明らかに優勝を意識しているからこその緊張感だったといえる。

 しかし、桑木の読みは大正解ではあった。この日5位タイ以内の選手は皆66以下のスコアでラウンドしたからだ。もちろん桑木も66をマークしたことで通算20アンダーにまでスコアを伸ばし、前日からの首位タイをキープできた。ただ、すんなりとスコアを伸ばしたわけではない。スタートの1番パー4でこそ幸先よくバーディーを奪ったものの、2番パー5では約2メートルのバーディーパットを外す。その後は7番パー4でバーディーを奪い、前半はスコアを2つしか伸ばせなかった。

 その間に同組の畑岡奈紗が順調にスコアを伸ばし、首位の座を守り続けていたが、後半のハーフで桑木はなんと2イーグルを奪い、畑岡をとらえる。1つ目は12番パー5で残り210ヤードを3番ウッドでピン左上2.5メートルに乗せ、1パットで沈める王道のイーグル。2つ目は17番パー5が舞台だ。第2打で残り213ヤードを3番ウッドで放つと、ボールはグリーン右手前のラフへ。ピンまでは軽い上り傾斜で25ヤード。58度のウェッジを手にする。ゆっくりとテークバックに入り、クラブを振り下ろした瞬間、桑木の頭に「強い!」という思いが過る。きっちりとボールにスピンをかけたものの、ピンをオーバーし、下りのパットが残ることを覚悟した。ところが、ボールは吸い込まれるようにカップの中へと消えていく。仮に少しでも左右にずれていたらかなりオーバーしていただけに、まさにラッキーイーグルだった。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 今大会を制するとUSLPGAツアーの来季出場権を獲得できるが、桑木はそれを単なる副賞と考え、あくまでもツアー初優勝に照準を合わせるつもりだ。幸いにも開催コースは右にドッグレッグしたホールが多く、今年からフェードヒッターに変わった桑木には攻めやすいレイアウトになっている。これも3日間ノーボギーを続けている要因の一つだ。ライバルはUSLPGAツアーで6勝を挙げている畑岡だが怯む気持ちはない。

 「今日までは畑岡さんについて行こうと思っていましたが、最終日はついて行くだけでは勝てないので、どこかのタイミングで抜けたらいいですね」と勝つ気満々だ。当然、今日以上のプレッシャーもかかるだろうが、「覚悟を決めていくしかないので、今日よりは気楽にプレーできるんじゃないでしょうか」と頼もしい。前人未到の日・米両ツアー同時初優勝に期待がかかる。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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