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2024.4.11

不動裕理 スタートの地で語った視線・声援・拍手

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2024シーズン第7戦『KKT杯バンテリンレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)が4月12日、熊本県菊陽町・熊本空港カントリークラブ(6,518ヤード/パー72)で開幕する。11日はプロアマ大会が行われた。

 レジェンドのひとことが、口開けからズシリと心に響いた。不動裕理にとって、今大会はホームゲーム。「ため息の数を減らし、拍手の数を増やすことです」と語った。

 故郷の試合というわけではない。この大会からすべてがスタートした。遠くを見るような目で振り返る。アマチュアだった94年、初のJLPGAツアー出場。「スポンサー関係のクラスメートがいたおかげでした。アマチュアで出場したのは、確か2回ある。熊本空港カントリークラブは、忍耐を教えてくれた。一喜一憂しないこと。アンラッキーなことがあっても、怒ったりしない。それから、最後の最後まで勝負をあきらめないことなど、たくさんありますよ」という。

 そして、コースを見ながら、「もう、30年ですか・・・。毎年、プレーして痛感することは木々が成長している。だから、フェアウェイが広々としているように見えても、ピンを狙っていくには、木がじゃまになって半分の広さぐらいしか使えない。難しいと思います。マネジメントをよりしっかりして、ボールを打ち分けることが必要。歴史をズシリと感じました」と、言葉を選びながら話している。前身の大会を含め、3勝。李知姫とともに、このコースで最多Vを誇る。

 「熊本空港へ降り立つと、なんともいい心持ちがする。四季折々の自然が広がり、すごく気持ちがいい。私は冬、うっすらと雪が山々へ降り積もっている景色が好きかなぁ。水がすごくおいしいし、海もある。自然を満喫できます」が魅力だそうだ。

 そんな素晴らしい環境が、歴史に残る選手を数多く送り出した原動力となったのだろう。出身都道府県別の優勝回数は熊本県が146勝。2位の埼玉県の87勝を大きく離している。だからこそ、通算50勝の実績がよりクローズアップされるわけだ。

 当然ながら、優勝は努力の賜物だろう。とはいえ、これまでの経験を振り返り、「ギャラリーの皆さんの声援と、拍手をたくさん頂戴したからだと私は思います」と力説した。さらに、続ける。「たとえば、自分でもいいショットだった、と手応えがあったとします。それが声援と拍手のおかげで、いいショットから→すごいショットへ変化する。そうなると、自信がわいてきます」。これすなわち、見えないパワーが働くということになる図式だ。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 一方で、独自の勝負論まで聞くことができた。「当たり前のようですけど、勝負は、たとえ100パーセントの力を出し切っても勝てるとは限らない。私の場合、とりあえずトップ10へ入ることが目標でした。仮に優勝だけを目指すとしたら、1回のミスで逃げていく。ところが、10位ならたとえミスをしてもあきらめなければ、手が届く順位でしょう。そういう気持ちで10代の頃から戦ってきました」と前置きし、「プロになった時、何勝できるとか、タイトルをとりたいなどは頭の中にはなかった。ゴルフで生活ができればいいかなぁ。それだけでした」とも。

 ギャラリーとコースが、不世出の選手を後押しした。自身、26回目の出場の今回は、「お二人とも、いい選手ですから、私はうしろからついていくだけです」と、ごく控えめ。それでも、ホームのアドバンテージがある。ギャラリーの熱視線、声援、拍手をパワーへ変換するシーンをぜひ、拝見したい。ちなみに、優勝を飾れば12年346日ぶりの栄冠。JLPGAツアー最長ブランクVを更新する。

(青木 政司)

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