2024.5.12
山下美夢有、今季初勝利逃すも「ボギーを打たない力」証明
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
RKB×三井松島レディス 福岡カンツリー倶楽部 和白コース(福岡県)最終日
2年連続年間女王の今季初勝利は、またしてもならなかった。首位タイでスタートした山下美夢有は2バーディー・ノーボギーの安定したゴルフを展開しながら、6バーディー(1ボギー)を量産した岩井千怜の破壊力に屈した格好だ。
昨年のこの大会でも、プレーオフにもつれ込みながら2ホール目で同じ岩井千怜に敗れている。「悔しいのはもちろんですが、相手のことよりも、私自身のレベルを上げていかなければ勝てないと、改めて思いました。ショートゲームの技術の足りなさがわかりました」と唇をかんだ。
6番で6メートル、17番で4メートルのバーディーパットを沈めた以外は、ここぞの場面でミドル以上のパッティングがことごとく、ほんのひと筋ずれていた。「ストローク自体はできていますが、読みとタッチが合っていないのかなと思います」と首をかしげる。
とはいえ、3日間54ホールを通じて、ボギーは第1日の16番・パー3でのダブルボギー1つのみ。それも2打目のバンカーショットがアゴに当たる不運に見舞われたものだった。この日も15番・パー4で、第2打をグリーン右のバンカーに打ち込んだが、絶妙のリカバリーショットでピンそば1.5メートルに止め、パーセーブして見せた。
今大会では、過去に男子の谷口徹、女子の上田桃子、イ ボミの年間王者獲得に貢献した実績のある清水重憲キャディーと、初めてタッグを組んだ。その清水キャディーも「山下さんの、ボギーを打たない力に驚きました。年間王者になる選手に共通するところなのかなと思いました」と感心しきりである。
フェアウェイキープ率も今大会ナンバーワン(42ホール中34ホール)。コーチ役の父・勝臣さんは「ティーショットをラフにどんどん打ち込むようだったら、(今月末に出場予定の)全米女子オープンが心配だと思っていましたが、この分ならアメリカのコースでも十分戦えそうです」とうなずいた。
母の日に今季初勝利─とはいかなかったが、母・有貴さんは「プロになってから本当に成長してくれていると思います。自分の仕事として、妥協なく練習に打ち込んでいる姿を見ていると、自分の娘ながら感心します」と述懐する。
昨年の山下はこの大会で岩井に敗れた後、翌週と翌々週に連続優勝して勢いに乗り、最終的に2年連続年間女王に輝いた。今季も落ち込む理由はどこにもない。
(宮脇 広久)
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