2024.5.19
山下美夢有、猛追も2打及ばず
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ブリヂストンレディスオープン 袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉県)最終日
最終18番パー5で山下美夢有の意地とプライドが垣間見えた。首位の竹田麗央とは3打差あり、現実的に逆転は厳しい。それでも池越えのサードショットではピンをデッドに狙っていくしかない。グリーン右端に立っているピンまでは残り134ヤード。8番アイアンを振り抜くと、ボールはピンの右手前で60センチに止まった。それを慎重に沈め、2位タイとなったが笑顔はない。唇を真一文字に結んだままだった。優勝できなかったことよりも、自分のゴルフに納得できなかったからだ。
「前半からピンの近くにつけるショットが少なかったのは残念です」。首位と3打差の3位でスタートした山下にとって、できるだけ早くその差を縮めることが求められた。ところが差を縮めるどころか、6番ホールを終えたときには8打差にまで開いてしまった。
確かに、6ホールで5バーディーを奪った竹田のゴルフは凄まじかった。しかし、前半の9ホールでスコアを1つも伸ばせなかった自分に対して許せない気持ちがあったのも事実だ。
「私はショットの精度を武器にしているのに、そのショットを曲げてしまったことで、チャンスにつけることができませんでした」。山下の調子を見るバロメーターの一つにフィニッシュがきちんと取れているかどうかがあるが、打ち終えた後にクラブから手を離すシーンが何度か見られた。前日から「アドレスがしっくりこない」と嘆いていたが、上手く調整し切れなかったのだろう。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
それでも、後半に入り、スコアを4つ伸ばしたのはさすがのひと言に尽きる。8打差も気がつけば2打差に縮まっていた。少なからず、竹田にもプレッシャーをかけたのではないか。山下自身は「パッティングで奪ったバーディー」と言いながらも4つのうち3つはピンそば3メートル、50センチ、60センチにショットをつけて奪ったものだ。18番の3打目にしてもフィニッシュをしっかりとることができた。山下なりにラウンド中スイングを微調整してきたからこその追い上げだった。
4バーディー、ノーボギーの68は決して悪い数字ではないが、「1日8アンダーとかを出せれば、流れにも乗れるんですけどね…」と、不満足な表情を見せた山下。ただ、反省すればするほど調子を上げてくるのが山下でもある。2週後には全米女子オープンが控えている。それまでには、ショットの精度を取り戻してくるに違いない。
(山西 英希)
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