2024.6.20
青木瀬令奈、ベテランの技で好発進
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
アース・モンダミンカップ カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)第1日
プロ14年目、31歳の青木瀬令奈がベテランのテクニックを披露した。16番パー4の第2打だ。ピンまでは残り152ヤード。ダイレクトにピンを狙いたかったが、運悪く木の枝が邪魔をしている。ボールを曲げるしかないと判断して8番アイアンを選択。木の右に打ち出したボールは左に大きく曲がり、ピン左下3.5メートルに乗る。それを慎重に沈め、この日3つ目のバーディーを奪うと、後半のハーフでもスコアを2つ伸ばし、68でホールアウト。4位タイで第1日をスタートした。
最近はクラブやボールの進化により、打球の直進性が高くなっているが、その分ボールを曲げにくい面もある。「ボールを曲げるときは、そのことも計算してフェースの開閉やスタンスの向き、スイング軌道などを思い切り行うようにしています」。自分の技術を信じているからこそ、思い切って障害物の左右にボールを打ち出せるのだろう。
この日見せた技はそれだけではない。ティーショットではあえてドライバーを持たず、3、5、7番ウッドを選択したホールがいくつかあったという。「ここのコースは、ある程度の距離を打つと、フェアウェイの両サイドがラフ側に傾斜しているため、ラフまで転がってしまうんです。なので、その手前にボールを止めるように心がけました」。青木の技が発揮されるのはそこからだ。ドライバーよりも30ヤードほど飛距離は多く残るため、ピンまでの残り距離は170~180ヤードとなり、第2打で持つクラブもフェアウェイウッドだった。にもかかわらず、グリーンをしっかりととらえていくのだ。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
「雨の影響でグリーン自体が例年よりも重く、フェアウェイウッドで打った方がいいかなと思いました」。ピンが奥目に切ってあるときは、多少手前に落としてもボールが転がってくれる。たとえ、ピンが手前に切ってあっても、青木の場合はフェアウェイウッドで高い球やスピンをかけたボールを打てるため、大きくオーバーすることはない。フェアウェイウッドを打つのが上手い女子プロの中でもボールコントロールの技術が高い青木だからこそ、第2打でフェアウェイウッドを選択する作戦をとれるわけだ。
さらに、長く粘りのあるラフ対策もしっかり行った。極端に飛距離が落ちたり、フライヤーで飛び過ぎることもあるが、それを防ぐには、ボールがどれだけ芝の中に埋まっているのかを確認しなければいけない。「そこは長年の経験で判断して、フェースを閉じたり、開いたりしています」と、貫録を見せた。
今季はトップテン入りが5回あるものの、優勝争いには絡んでいない青木。昨年まで3シーズン連続で優勝を飾っているだけに、当然、今季は4シーズン連続の優勝を狙っている。そのためにも今大会では優勝争いに絡むことが第一目標になる。
(山西 英希)
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