2024.7.20
女王山下美夢有が計算する超ハイレベルの優勝スコア
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
大東建託・いい部屋ネットレディス ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡県)第3日
山下美夢有にとっては、出場を決めているパリ五輪前最後の大会。6月の全米女子プロゴルフ選手権で2位に入り、メルセデス・ランキングでもトップに立っているが、今季未勝利だけは心残りに違いない。パリへの手土産をゲットすべく、通算18アンダー、首位に2打差の3位で最終日に臨むことになった。
この日は8バーディー、ノーボギーの63。これまで勝ち切れない要因に挙げていたパッティングについて、「まだ打ち切れないところが何ホールかありましたが、だいぶタッチがよくなってきました」と一定の手応えを得た。2番から5番までの4連続バーディーでも、3番で7メートル、4番で8メートルのロングパットを決めていた。
一方、10番パー5で第2打をグリーン右のバンカーに打ち込みながら、リカバリーショットをピン横50センチにピタリと寄せてバーディーを奪取するなど、ショットの正確さは相変わらずである。
4日間(72ホール:パー72)での最少ストロークは264(24アンダー)だが、今大会は3日間で既に首位の川﨑春花が20アンダー、2位の三ヶ島かなも19アンダーまで伸ばしている。山下は優勝スコアを「ビッグスコアが出たら、30アンダーはいかないまでも、28とか29はありうるかなと思います」と予想する。JLPGAツアー記録を超えるハイレベルな争いとなる可能性が高い。
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
山下が28アンダー以上に達するには、最終日のストロークを62以下に抑えなければならないが、「グリーンがよく止まるので、どれだけバーディーを取れるかの勝負。私はこの3日間、パー5のホールで第3打があまりピンに寄っていないので、そこが合えば、いい流れで回れると思います」と逆転のイメージを描いている。
3日間を通してノーボギー。前半9ホールは、第1日が1イーグル、第2日も1バーディーにとどまり、後半にぐんとスコアを伸ばすパターンだったが、この日は前半に4連続を含む5バーディー(後半は3バーディー)を稼ぎ、「最終日もいいスタートを切りたいですね」と優勝へのキーポイントを自分に言い聞かせた。
2年連続年間女王の誇りに懸けても、五輪前の戴冠はクリアしておきたい。ホールアウト後も最終日へ向け、まだ暑さの残る練習グリーンで、キャディーに傘をさしてもらいながら、丹念にパッティングを打ち続ける山下の姿があった。
(宮脇 廣久)
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