2024.7.21
川﨑春花が唱えていた勝利の呪文 新記録28アンダーで2戦連続V
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第20戦『大東建託・いい部屋ネットレディス』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会最終日が7月21日、福岡県糸島市 ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(6,505ヤード/パー72)で行われた。スタート直後に雷雲接近のため、午前6時53分、競技を中断。午前7時54分に最終ラウンドを再開した。
記録ずくめの今大会。64をマークした川﨑春花が72ホール最少ストローク(パー72)を更新し、通算28アンダーで2試合連続優勝を飾った。通算24アンダー、2位で連続ノーボギーのツアー記録を99ホールに伸ばした山下美夢有。通算22アンダー、3位に佐久間朱莉が入った。
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《グリーン=スティンプ:9フィート コンパクション:21mm》
2位に1打差の首位でスタートした21歳の川﨑春花が、最終組で山下美夢有、三ヶ島かなと激しい競り合いを展開。後半の3連続を含む5バーディーで一気に抜け出し、最終的に2位の山下に4打差をつけて勝利。通算28アンダー(260)をマークし、従来のJLPGAツアー4日間(72ホール)最少ストローク記録の24アンダー(264)を大幅に更新した。
6月のニチレイレディスからクロスハンドに変えたパッティングが、この日も冴え渡った。三ヶ島と24アンダーで並んで迎えた13番パー4では、5メートルの下りのフックラインを読み切り、バーディーパットを決めて単独首位に立つ。「パッティングに関しては、入れようとするとオーバーすると思っていたので、ラインを考えてタッチを合わせることを徹底しました」。15番でもバーディー。続く16番でも7メートルの長いバーディーパットを決め、残り3ホールで2位との差が4打に。この時点で優勝を決定づけた。
ルーキーイヤーの2022年には、公式競技の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を含めて2勝を挙げたが、先々週のミネベアミツミレディスで通算3勝目を挙げるまでに、1年半のブランクがあった。ところが今回は、オープンウィークを挟み2戦連続で4勝目をゲット。「22年は優勝できたことが信じられなくて、受け入れるのに時間がかかりましたが、今回はオープンウィークを生かして気持ちを切り替えることができました。そこが成長できたところかなと思います」と口元を綻ばせた。
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
「これまではいい位置にいても、スコアを気にして崩れてしまう試合が結構多かったです。今はプレー中も頭の中で『目の前に集中、目の前に集中』、『自分との勝負、自分との勝負』と繰り返しています」と明かす。実は頭の中だけでなく、「(口に出して)ぶつぶつ言うこともあります」。
そのせいだろうか。ロングパットを決めても、派手なガッツポーズを繰り出すようなことはなく、ニッコリと微笑むくらい。18番でウイニングパットを決めた時も、右手でキャップのつばを触り、ギャラリーに感謝の気持ちを示しただけ。感情の起伏を見せなかった。
今大会で川﨑のキャディーバッグを担いだのは、男子プロの小平智、片山晋吾、女子では1997、98年JLPGA賞金女王の福嶋晃子らとタッグを組んできたベテランのプロキャディー、大溝雅教氏だった。男女ツアーで計33勝目となった大溝氏は「彼女(川﨑)のすごいところは、すっとぼけているところです。いいえ、決して冗談ではなく、僕はいろいろな選手に『さらっとやって、さらっと終われ』と言ってきました。彼女はそれができている。そして僕は隣でオヤジギャグを言って和ませていただけです」と証言した。平常心が強みというわけか。
最少ストローク記録更新にも、川﨑は「ね?うれしいです」とまるで他人事のよう。そして「山下美夢有さん、三ヶ島かなさんが一緒に回ってくださって、お2人のゴルフが素晴らしかったからだと思います」と先輩に感謝した。京都の女性らしい、はんなりとした笑顔が浮かんだ。
(宮脇 広久)
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