2024.9.4
申ジエ-意欲的『今大会はJLPGAの歴史』
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会 かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)
秘めた闘志を、笑顔で覆い隠しながら申ジエは、「気持ちを一新しました。とにかく、あすからの4日間のために集中します。パリオリンピック、メジャー挑戦などが今季、前半のテーマでしたけど、私にはそれが終わっても、まだJLPGAツアーで成し遂げなければならない目標がある。目標があることは本当にうれしい。また、沖縄は去年の開幕戦、ダイキンオーキッドレディス以来。しっかりと沖縄の皆さんへ、いいプレーでごあいさつをしなければなりません」と、一気に語った。
永久シードまで、あと2勝と迫っている。今大会へ向けて、「この大会は、JLPGAツアーの歴史そのもの。優勝すれば、アジア、日本で一番強い選手ということになるでしょう。プロフェッショナルの姿勢を、ファンだけでなく後輩の選手や、関係者にも披露することが私の使命とも考えている」そうだ。
この日、入念かつ万全の準備をおこなった。というのも、「AIG女子オープンで経験した、強風の感覚が残っているから。信じられないぐらい、強い風の中でラウンドをした。対応するのは、すべての重心を低くしなければなりません。スイングの際のアドレスを狭めたりしながら、細部までチェックしている」と説明を。
そのAIG女子オープンでは2位タイと、ベテラン健在をアピールした。「セントアンドリュースのオールドコースは3回目の挑戦。07年がはじまりです。あの時はコースに立って、もう、うれしすぎて、最後まで観光気分だったような気がしました。そして、2回目が13年。ランキングで世界一になった後でした。しかし、大きな目標を達成してから、燃え尽き症候群に…。世界一のプレーを見せなければならない。そんなプレッシャーがあって、何もできなかった」と言葉を区切っている。
ひと呼吸し、「11年ぶりに訪れたセントアンドリュースは、違った景色があることを知りました。よく考えると、コースだけを見ていただけで、周囲を見回す余裕なんてまったくなかったことを気がつきましたね。私は今、ゴルフの歴史の中にいる。本当に楽しかったです。ゴルフを続けて良かった、と痛感した」と、遠くを見ながら、「次回、セントアンドリュースの開催は10年後らしい。果たして、そこまでプレーを続けられるか…。だけど、最終日の18番でバーディーフィニッシュが決められた。きっと、コースが4回目も待っている、と激励してくれたと思います」。
一方、初めてプレーするコースの印象はどうだろう。「同じ、沖縄でも琉球ゴルフ倶楽部とは芝の質が違う。いろいろな芝があることを再認識。グリーンは奥行きがそれほどではない。当然、グリーンを狙う距離感に加え、第1打でフェアウェイキープを徹底しなければなりません」と、プレーの基本を改めてかみしめている様子だ。
世界中でプレーした経験が生きる。過去よりも未来を身上としているものの、さまざまな思い出はすべて韓国の自宅にあるそうだ。「優勝トロフィー、優勝カップはもちろんだけど、いただいた副賞の目録まで、スポンサーの皆さまへ感謝を込めて、すべてを大事に保管しています。ただ、使用したクラブなどはチャリティーに出してしまうので、残っていませんよ」と、こぼれ話まで聞くことができた。仮に、自身の記念館などをつくる際には、貴重な品々となるだろう。
「それにしても、沖縄は本当に暑い。スコットランドは朝、9℃でした。前週、しっかりとコンディションを整えたから、問題ありませんけどね。9月から日本で全集中です」。ひとつ、頷いて、頼もしい表情をつくった。
(青木 政司)
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