2024.9.26
永井花奈を救った元コーチのひと言
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
日本女子オープンゴルフ選手権 大利根カントリークラブ 西コース(茨城県)第1日
4週前のゴルフ5レディスで8位タイと今季初のトップ10入りを果たした永井花奈。しかし、試合後の表情は今一つ冴えなかった。69で回ったものの2つあったボギーがどちらも3パットだったからだ。今季のメルセデス・ランキングは現在88位で、この2年間守り続けてきたシード権を手放しかねない状況にいる。ショットの精度を欠いていることも不振の要因だが、明らかにパッティングの不調が上位に行けない理由となっている。それだけにトップ10入りしたとはいえ、パッティングに手応えを感じられなかったので素直に喜べなかった。
そんな永井の悪い予感は的中する。上り調子でありながら、翌週のソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会では68位に終わる。たまらず、その試合で救いを求めたのが以前に永井のコーチを務めていた青山充氏だった。同氏がたまたま永井と同組だった選手のキャディーを務めていたこともあり、プレー後、自分のゴルフはどうだったかと思い切って聞いてみた。
「答えとしては、ショットにも言えることですが、パッティングでもアドレスに入るまでの動きに関して、調子がよかった頃と違っていると指摘されました」と永井。調子が悪くなると、どうしても余計なことを考えるせいか、アドレスからテークバックに入るまでの時間が長くなる。逆に調子がいいときは、スッと次の動きに入れるのでリズムがいい。元を正せば、アドレスに入るまでのルーティーンがスムーズではないことに原因があったわけだ。そこで、昔の動画を見つつ、自分の動きを徹底して真似することにした。
「ルーティーンを変えたことで構えてから不安になることはなくなりましたが、とにかく悪い意識が入らないように頑張りたいなと思っています。まだ自信はありませんが…」。大会前日も練習グリーンでそのことを意識しながらパッティング練習に時間をかけていた。その効果が少しずつ表われ始めたのが今大会だったといえる。
パッティングがよくなれば、ショットにも好影響を与える。6,845ヤードとJLPGAツアー史上最長のコースということもあり、どうしても2打目に持つクラブが長くなる。実際、永井が2打目でアイアンを握ったのは3回しかなかった。それでも7番・パー4では残り194ヤードから5番ウッドで3メートルにつけてバーディー、8番・パー4では残り164ヤードから6番ユーティリティーでグリーンをとらえてバーディーを奪った。
「今日はラフには2回ぐらいしかつかまりませんでしたが、とにかくフェアウェイキープを心がけたのがよかったと思います」。ティーショットでフェアウェイさえとらえれば、グリーンに乗せることはできる。あとは2パットで収めることを考えた結果、スコアを3つ縮めることができた。首位とは4打差の4位タイで第1ラウンドを終えた永井。今大会の優勝者にはメルセデス・ランキングに400ポイントを加算できるが、永井にとってはのどから手が出るほど欲しいポイント数だ。まだ3日間残っているだけに逆転のチャンスは十分ある。明日以降も目の前の1打に集中しながら、上位をじっくりと伺いたいところだ。
(山西 英希)
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