2024.10.5
柏原明日架-秋にみせる心・技・体
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント 東名カントリークラブ(静岡県)第2日
プロ10年目。柏原明日架がルーキー時から、まったく変わらないものがある。スーッと背筋を伸ばし、後ろ手にする、すごくきれいな姿勢だ。
「最終ホールと、2番がちょっともったいなかった。その2ホール以外は納得しています」と、反省からスタートした。とはいえ、表情は柔和。いい意味で力が抜けている。前年に続いて、優勝争いに参戦。
「もったいないことをしていたら、優勝はともかく上位にはいけなくなりますからね」が理由だ。とりわけ、2番は反省すべきポイント。スタートの1番、15メートルのバーディーパットを決めた。直後も同じ状況に加え、「1番よりも、ラインがやさしい。そうなれば当然、もうひとつ、と狙いますよね」と言葉を切った。その上で、「バーディーは決まらなかったけど、99パーセントの確率でパーセーブはできたと思います。それで3パット…」が猛省の要因である。
ただし、気持ちの切り替えがはやい。前日、菊地絵理香、河本結と3人でさまざまなゴルフ談義を行った。特に共鳴したのは、「パッティングが多いけど、もったいないミスはひとつぐらいある。要は、先を読む力というか、私に大切なことは心の余裕をもつことだと改めて感じた」そうだ。
続けて、「そういう心に引っかかるミスがあると、ダメな自分を探してしまう。そんなワンプレーは、その場においておけばいい。きょう、いつもと違ったことはそれができたことです」と、心情を丁寧に説明した。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
毎年、秋口から調子をあげていく。次週は、ホステス大会という大事な仕事も待っている。ここからが正念場なのだ。「シーズンが開幕して、オフに取り組んできた、さまざまなことを、試合で実践する。練習ではできても、試合でできないといけない。どうしても、私の場合はそれが9、10月になるんです」と話した。
さらに、「フェードヒッターになって3年目。コーチの指導を受けて2年目です。定期的にお互い、気がついたことや、データを参考に具体的なことを話す。意思の疎通がより強固になっている。今年、私が感じるのはテクニカルなことは当然として、心の部分を補うことが上達。オフから、自分自身の分析をしっかり行ったこともいい方向になった」。
プロ10年目になって目に見える、変化はあるのだろうか。「10年目はあくまでも節目としてとらえているだけです」と即答した。「勝負の世界に年齢は関係ない。いい結果をたくさん出している選手は、やはりメンタルでしょう。技術は私が見ればわかるけど、内面のことは聞いてみなければわかりません。きのうは本当に勉強になった」とも。
首位の河本をどう追い上げるか、最終日の見ものである。ちなみに、「手綱をゆるめることが私には必要なんです」と、笑顔を浮かべ、謎のメッセージが秘策だった。
(青木 政司)
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