2024.10.6
ついに感謝祭-佐藤心結ツアー初V
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第30戦『スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会最終日が10月6日、静岡県裾野市・東名カントリークラブ(6,610ヤード/パー72)で行われ、首位スタートの佐藤心結が大会レコードタイの通算15アンダーでツアー初優勝を飾った。この日は序盤から大混戦。激しいV争いが展開され、14番からの4連続バーディーで抜け出した。2打差の通算13アンダー、2位タイは河本結、尾関彩美悠。竹田麗央は通算12アンダー、4位に終わった。
(天候:曇り時々晴れ 気温:27.7℃ 風速:3.3m/s)
《グリーン=スティンプ:11 2/3フィート コンパクション:22mm》
ここに来れば、何かが起こる。そして、優勝が現実になった。佐藤心結は、慣れ親しんだコースで躍動。未勝利と大混戦にピリオドを打った。
勝負はバック9。心に蓄積したモヤモヤを必死で吹き飛ばすように、バーディーを量産した。手始めはパー5・11番。残り139ヤードを8Iでピン3メートルへ運ぶ。「2番で3パットのボギーが最初に…。前半、バーディーがひとつもとれない。流れが悪く、今回も厳しいかなぁと感じた」という。その矢先にバーディーが決まった。勝利はひとつのプレーから始まる。首位を快走していた、同組の河本結がこのホールでボギーを叩く。再び、1打差に迫り状況を転換させた。
ハイライトは14番からの4連続バーディー奪取。5メートルをカップインさせると、ショットの切れ味が増す。15番、残り106ヤードの第2打を48度で50センチに。ますます勢いが加速する。パー3・16番は、第1打がグリーン奥のエッジとラフの間、ピンまで7ヤードの難しいシーンだったものの、58度で鮮やかなチップイン。神がかりともいえる、スーパープレーである。
さらに、17番。残り128ヤードの第2打は「ミスショットだった」と振り返る。ピンまで11メートルのバーディートライを、計ったように放り込んだ。あっという間、後続に2打差をつけた。
前週まで28試合に出場して、17回の予選落ちが信じられない。ましてや、今大会はアマチュアで出場した21年、渋野日向子と死闘を演じた伝説をつくっている。「15番で首位に並んだ。その直後から21年の記憶が少しずつ、脳裏によみがえってきておもしろいというのか、ワクワクしてきた」と前置きし、「17番から両手と、両足がガクガクしてきた」と振り返った。
それだけに、「最終ホールでは、緊張すると私、スイングリズムがはやくなる。リズムだけを考えた。意識をして良かったです」と細心の注意を払っている。あまりに、あっさり。また、予期せぬことが待っているのが勝負だ。「やっと1勝。これで上を目指す立場になった」と、胸をなでおろす。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
初の優勝会見は40分、自身のすべてを語った。ただし、周囲への感謝の言葉が大半を占める。21歳という年齢とは思えない、義理と人情を重んじる律儀な性格が鮮明になった。
「米山みどりさんには、日本女子オープンの予選の際、素振りとパッティングの助言をいただいた。先輩プロの葭葉ルミさん、工藤遥加さんからは練習ラウンドのようにプレーすればいい、と。コーチのいない私に、契約はしていないけど相談にのってくださった坂詰和久コーチもたくさんアドバイスをしてくださった」
「21年大会同様、18番グリーンで待っていてくださった髙木優奈さんは、子どもの頃からお姉さんのように面倒をみていただいております。また、同期の素晴らしいライバル、竹田麗央さん、川﨑春花さん。いつもは迎える立場だったけど、迎えられる方に…」
「キャディーを務めてくださった北村明子さん。きょう、ボギーを叩きちょっとイライラが出たときに、真剣な顔をしてやっている-とジョークをまじえ、ムードを和らげてくださった。兄もCAT Ladiesでキャディーを買って出てくれた。ミスショットをしても、前にボールが飛んでいる。気にしない-と。おかげであの試合から予選落ちをしていません」と、次から次へと感謝の言葉がわいてくる。
極め付きは、用具にも。「中学2年からブリヂストンスポーツさんから、用具のサポートをしていただいています。だから、他のメーカーさんのクラブを試したことがありません。そういえば、パターは、高校時代から使っているもの。いい仕事をしてくれた」。
勤労感謝の日は11月23日だが、この人の場合は、日曜日が毎週、その日である。それだけに次週もまた、成績で恩返しをするしか手はない。
(青木 政司)
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