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2024.10.25

森井あやめ-心優しきパーフェクトV

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2024シーズン第18戦『ヒルズレディース森ビルカップ』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が10月25日、茨城県笠間市・宍戸ヒルズカントリークラブ(6,436ヤード/パー72)で行われ、森井あやめが通算15アンダーでプロ初優勝。しかも、パーフェクトVで飾る、最良の一日となった。2打差の通算13アンダー、2位は池ヶ谷瑠菜。3位にサイペイインが入った。
(天候:曇り時々晴れ 気温:20.0℃ 風速:1.2m/s)

 人生でもっとも長く感じた18ホール。森井あやめは苦闘の最終日、パープレーで乗り切った。70センチのウイニングパットを沈めると、大きくため息が漏れる。そして、満面の笑顔をたたえた。

 「やっと終わった。18ホールのプレー、すごく長かったです。これなら、18ホールなんていらない、と思いました」。プレッシャーから解放され、軽口が飛び出す。プロ初勝利は、想像していたものとはまったく違った。

 「前夜から最終日のピンポジションを考えるなど、うとうととしながら、コースをシュミレーション。もう、ゴルフのことばかりを考えて、とにかく憂うつでした。そんな状況でしたから、朝食の味など、まったくわからない」といい、「スタートホールのボギーはさすがにないだろう、と思っていたら、そのまさか-です。それから、3番でもボギー…。少しだけ、また、ダメか、とイヤな感じが漂ってきた」そうだ。

 ただし、前2日間で積み上げたアドバンテージがある。「この大会まで、爆発力なんて私には無縁と思っていたけど、第1日に9アンダーが出て、すごい自信につながった。いつも上位争いした時は最終日、バーディーをたくさんとろうと気合が入りすぎ、空回りすることが多い。でも、きょうは2位と4ストロークの貯金があった。少々のミスでも、まだイケると強気でいけたことも優勝につながったと思います」と振り返った。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 勝負は後半。やはり2つのバーディーがポイントだ。パー5・14番、残り30ヤード、58度の第3打が見事。ピン50センチに寄せ、楽々とバーディー奪取に成功した。さらに、パー3・16番ではピン横3メートルへ。「結構、曲がるフックライン。すごく難しいラインです。ここで入れておけば、ほぼいけるだろうと思った」と話した。

 ところが、アドレスに入って、仕切り直し。周囲で見ている立場にすれば、これまたプレッシャーと見えたが、実は違った。「ストロークしようと思ったらボールに虫が止まって…。あのまま打ってしまったら、虫がかわいそうです。第1日には、踏まれそうなカエルを助けた。私は、生き物が好きだから」と、心の中までを-ほんの少し語っている。

 ちなみに、70センチのウイニングパットは、「外しても優勝だから、2パットでいいかなぁとも思いました。すごくカップが小さくみえたからです」と、苦笑しながら、舞台裏の心情を話した。だが、未来の姿を思い描いて弱気の虫を追い払う。

 「第2日、同い年の比嘉真美子さんと同組でプレー。(スタートコールで)JLPGAツアー5勝、ステップ1勝というアナウンスがあった。私は1勝もしていない。奮起の材料になった」と言葉を切り、「優勝って、こんなにうれしいものだったんですね。もっとやらなくては。JLPGAツアーで優勝するまでは絶対、やめられない」と誓った。

 プロ9年目の初Vは完全優勝のおまけがついた。勝負は先手必勝が有利とされている。同時に、常に変革を迫られるものだ。心優しいウイナーとなった。当然、次が大切であることは心得ている。

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