2024.10.26
青木瀬令奈68はプロフェッショナルの矜持
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)第2日
約1カ月半ぶりに60台のスコアをマークした。この日、青木瀬令奈は5バーディー、1ボギーの内容。ようやく、手応えを感じてホッとひと安心の様子だった。「体をうまく使うには、どうすればいいか。手探りのラウンド。痛みとうまくつきあいながら、やるしかないでしょう」という。
右腓骨神経損傷で、大会を通してプレーするのは、日本女子オープン以来。しかも今大会は3週間、クラブをまったく握っていなかった実戦だ。故障が完全回復したわけではない。シーズン残り5戦となって、はやる心を抑えながら半ば、見切り発車。当然、不安がよぎっていたことは確かだろう。
「8番、あたりから両足がジンジンとしてきて、痛みを顔に出さないことが大変でした。振り返れば、春先からラウンド中、痛みがなかったことはありません。諸先輩方から、プロを続けていれば、遅かれ早かれ、どこかに故障が出てくるもの。だけど、それをカバーしながら実績、成績を残すことがプロフェッショナル、というものだとお話をうかがってきました」と、話した。
この日も早朝から、大ギャラリーが足を運んだ。視線が注がれる時には、つとめて明るく。ただし、見えないところで時折、痛そうな表情を浮かべることもあった。最終18番、残り79ヤードの第3打は58度を選択。大きな声援に応えるように、素晴らしいショットを披露した。キャリーでボールを落とし、スピンをかけピン1メートルへ。バーディーフィニッシュを決めている。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
「あまり、故障の話はしたくはないけど」と前置きし、「元々、左足の母指球を痛めていた。それをかばっているうちに、右足に-という状況です。母指球が痛いから、特にパッティングではかかと体重になる。それが要因でうまくアドレスがとれず、クラブヘッドがほんの少し、ループしていた。きのう、きょうと、痛くてもバランスよくアドレスもテーマのひとつです」とポイントを解説した。
そうはいっても約3週間、まったくクラブを握らずにいても、ブランクを感じさせないのは、いったい-。「上半身、体幹のトレーニングは休まず続けていたし、ある意味、ゴルフ漬けの毎日。動画配信、テレビで女子だけではない、PGAの男子まで、いいプレーを目に焼き付けた。両眼を通して入ってくるから、試合勘がなくなることはない。今だからいえるけど、頭の中がクリアになったし、私にとって、次の勝利までの準備期間だと思えます」と言葉が弾んだ。
さらに、締めの言葉は、「休むことは人生が終わってからでいい。私は走り続けます」。最終日の猛チャージを、期待したくなる。存在感を示したムービングデーだった。
(青木 政司)
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