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2024.11.23

首位・桑木志帆-ロブスターでVへ前進

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2024シーズン最終戦『JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金3,000万円)大会第3日が11月23日、宮崎県宮崎市・宮崎カントリークラブ(6,497ヤード/パー72)で行われた。桑木志帆が抜群の安定感を示し、通算12アンダーとスコアを伸ばし、完全Vへ前進。3打差の通算9アンダー、2位に竹田麗央がつけている。さらに、通算7アンダー、3位タイの鈴木愛、山下美夢有、小祝さくらと3人の実力者が最終日、大逆転を狙う。
(天候:晴れ 気温:17.3℃ 風速:4.3m/s)
《グリーン=スティンプ:9 1/4フィート コンパクション:23.5mm》

 すさまじい気迫が桑木志帆にみなぎった。17番、残り108ヤードの第2打。52度から放たれたボールは、ピンへ向かって、1メートルのバーディーチャンスを創出した。何事もなかったかのような淡々とした表情で、楽々とバーディーパットをカップイン。

 「すごく大きなバーディーだと思います」と、ほほ笑みながら、「昨日とは、風などの条件がまったく違う。きょうは1Wのショットで精度がちょっと安定していなかった。にもかかわらず、後半はノーボギーでガマンを続けていたから、ようやく来た-そんな感じでした」と振り返った。

 第1日から首位をキープ。抜群の安定感がクローズアップされている。2位とは3打のアドバンテージを握り、最終日を迎えることは大きい。それにしても-。

 スタートホールのティーイングエリアに立つと、あでやかなオレンジのウェアが目を引く。加えて、パンツにはロブスターのプリントがたくさん…。「ちょうど最終戦用のウェアの中に、この組み合わせが届きました。私、エビが好きだし、ちょっといいかなぁと思って」と明かしている。目立つこともプロフェッショナルの重要な要素だ。それを着こなしてしまう、センスがある。これひとつで、評判をとれそうでも、やはりプレー内容の良さが加わらなければ、見る立場からすれば、ハデだった-そんな印象が少し残るだけだ。


<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>

 ましてや、この日はムービングデー。公式戦初制覇に向けて、重要な18ホールだろう。今大会、目に見えない変化は、内面の落ち着きだ。マネジャー・中村優海さんの存在が大きい。前週はキャディーをつとめ、息の合ったシーンを何度も目撃した。というのは、岡山理科大学付属高時代の同級生。ともにゴルフ部で、3年間の寮生活は一部屋をシェアした親友だった。

 「ゴルフ部では桑木さんがキャプテン。団体戦では頼りになる人です。3年間、一緒という関係でした。私はプロになろうとは考えてはいなかった」といい、「(マネジャーとして)チームに加わってほしい、というお話は、本当に光栄でうれしかったです」(中村さん)。ツアーに帯同し、コースの外では話し相手もつとめる。「ゴルフの話は、なし。ほとんどおふざけの話題ばかりです。そういったこともお役に立てるとうれしい」(同)とも話している。ちなみに、妹・心は今年、最終プロテストに合格した。

 とりわけ、桑木の場合、メンタルの安定はプレーに直結。パッティングに好影響が出た。「パッティングの時、まったくあせらずにいられる。何よりも、打てば(カップに)入る気がします」と漏らす。続けて、「2メートルぐらいのパッティングがよく決まる。だから、ロングパットが残っても、2パットでいい、という安心感があるんですよ」と説明した。

 取材時、何度もロブスターのプリントに目が行ってしまった。そして、浮かんだのは、江戸時代からのことわざ、エビでタイを釣る。少ない元手で大きな利を得る-という意味合いでも好プレーを演出した吉兆のアイテムに違いない。

 完全優勝を狙う最終日。「私はまだ、逃げ切った経験がありません。だからわからない。だけど、この難しいコースで3打差はラッキーでもあるし、もし私がミスをしたらすぐに差を詰められてしまう。気が抜けない。それでも、これまでの試合より、心の余裕がほんの少しだけあります」。なるほど、名コースは選手を育てる。

(青木 政司)

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