2025.6.2
「Hello,Golf!社会科見学プログラム」at ブリヂストンレディスオープン
2025.4.4
<Photo:Toru Hanai/Getty Images>
45歳以上の女子プロゴルファーを対象にした、JLPGAレジェンズツアー2025シーズン第1戦『長崎さくらレジェンズオープン2025』(賞金総額1200万円、優勝賞金180万円)大会最終日が4月4日、長崎県諫早市・長崎国際ゴルフ倶楽部(6188ヤード/パー72)で行われ、酒井千絵が通算6アンダーで逆転優勝。23年ボンドカップ、24年Obbliカップに続き、レジェンズ通算3勝目をあげた。2打差の通算4アンダー、2位は川久保百代。佐々木慶子、前田久仁子が通算3アンダー、3位タイに入った。
満開の桜を愛でる暇はなかった。酒井千絵は優勝が決まると、大きなため息をつく。続けて、意外な舞台裏を明かした。「この2カ月間位、スコアで80を切ったことなど、2-3回程度。内容がひどくて今大会はどうなることか、といった感じです。スイングのタイミングがバラバラでした。それが、試合になると、変わったのです」。
2日連続のアンダーパーをマークして、通算6アンダーとスコアを伸ばした。特に最終日の68は奮闘の一語につきるだろう。2回の2連続バーディーを含む、6バーディー、2ボギーの内容は圧巻。
勝負をかけたのは、パー5・15番だ。「14番でバーディーが来て、ちょっとホッとした。それだけに、ここでバーディーが続いたら、ちょっと大きいなぁ。ティーイングエリアで気合を入れ直した」という。
しかし、第1打は右ラフへ。しかも、ボールはディボットにすっぽり収まってしまう、アンラッキーである。それだけに、無理をせずに残り125ヤードの第3打に全集中することに。8Iのショットをピン左手前2.5メートルにつけた。
「カップまでストレートのすごくいいライン。とにかく、しっかりストロークをする。それだけです。確か、前半最後の9番でバーディーをとった時と同じような精神状態。状況が似ていたし、体がそれを覚えていて、うまく反応した」と、記憶の糸を手繰るように解説した。
<Photo:Toru Hanai/Getty Images>
結局、勝敗の良否はパッティング。とはいえ、またしても、驚がくの告白が飛び出した。「去年はステップ・アップ・ツアーの開幕戦に出場した」と前置きし、こう切り出す。「コースが高麗グリーンだなんて、まったく知らなかった。だから、悔いが残らないようにしただけ。ショートパットの時、高麗グリーンは曲者だから、2.5メートルぐらいのストレートラインだから、思い切って打てました」と話す。
振り返れば、2週前はどん底にあえいでいた。誰が見ても美しいスイングを目指し、昨年末から改造に着手。ところが、やればやるほど、不安ばかりが拡大した。そこで、救世主を求め、大金寿子にSOS。「アドレスからしっかり指導を受けた」そうだ。
さらに、長崎へ到着してからは、地元出身の河野かおりが徹底指導。「一昨日、昨日とたくさん、たくさん怒られた」と苦笑する。良き友に恵まれ、戦闘態勢が完成したのである。
「とりあえず、シーズン1勝が目標。だけど、目標がきょうで消滅しました」といい、「そんなにうまくいくかなぁ、と今、考えている。でも、私は年間で複数回優勝をしたことがありません。次のターゲットはこれかなぁと思います」と宣言した。
4月4日は二十四節季の清明にあたる。万物が清々しく美しい時に入った。心配の時を経て、勝利をつかむ強運を得た。新たなことに挑戦するには、最適の一日になったに違いない。清浄明潔の志を、18ホールのプレーに表したのだから-。
<Photo:Toru Hanai/Getty Images>