2021.9.26
漆黒の2週連続V 西村優菜-強し
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGA ツアー2020-21シーズン第43戦『第48回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント』(賞金総額7,000万円・優勝賞金1,260万円)大会最終日が9月26日、宮城県宮城郡・利府ゴルフ倶楽部(6,591ヤード/パー72)で行われ、西村優菜が2週連続優勝を飾った。通算15アンダーはトーナメントレコード。この日4バーディー、2ボギーの70でプレーした。2位は通算12アンダーの淺井咲希。通算9アンダー、3位タイは原英莉花、古江彩佳、野澤真央が入った。渋野日向子は通算6アンダー、8位タイ。
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《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:22mm》
並ばれることも、抜かれることもない。西村優菜は、完全優勝で2週連続Vを果たした。コロナ禍で異例ともいえるルーキーシーズン。通算4勝目である。しかも、3打差で自身初の勝ちパターンを構築。
楽に勝たせてはもらえなかった。「きょうは、苦しいラウンド。前半はいつもと感覚が違い、メンタルのコントロールがうまくいかなかった。集中力がいまひとつだった気がします」と振り返る。
「焦ってしまったのは、8番のボギー。バーディーホールと定めていた。そこでミスが出て…」。フーッとタメ息を漏らす。続く9番もピンチに見舞われた。残り175ヤードの第2打。7Wのショットがアゲンストの風に阻まれ、ショートする。アプローチもうまくピンへ寄らなかった。
2.5メートルの難しいフックラインが残る。「ここでしっかりパーをセーブできなければ、流れを引き戻すことができない。強い気持ちでストロークした」。狙い通り、ボールはカップインする。これがこの日、最初のターニングポイント。
勝負の後半へ入る。ただし、前2日とは違ってセッティングが難度を増していた。各選手、スコアが思うように伸びない。より集中したのは最も難しいパー3の15番。6Iでピン手前1メートルへつけるナイスショットを披露し、ギャラリーが沸いた。「ギャラリーの皆さんの前でいいプレーをしたい。きょうの後半、それがメンタルの支えになりました。声援、拍手が力に変わる。本当に有難かった」という。
同時に、「今までの3勝は無観客。よしっ-」。優勝を意識して残り3ホールへ挑む。とはいえ、16番は2.5メートルのパーパットが残った。これも試練。「3打差で残り2ホールを迎えるのと、2打差で残り2ホールへ入るのでは、まったく意味合いが違います。あのパッティングも、キーポイントでした」と静かに語った。
優勝は、ほぼ決定。しかし、楽観する様子は少しもない。シーズンは、まだ続く。最終18番では、自身の特性をアピールし、ギャラリーへの感謝を示すかのように、ファイナルショットをアピール。残り110ヤードの第3打を、伝家の宝刀ともいえるPWで1メートルにつけ、バーディーフィニッシュで締めくくる。
「過去の3勝もそうだったけど、きょう一番のショットもPWでした」と納得の表情。本当に強かった。2週連続優勝の要因は、「パッティングがすごく良かったこと。おかげでスコアをまとめることができた」と前置きし、「5月のワールドレディスで優勝した後、ちょっと(勝敗へ)神経質になりすぎたと思う。ゴルフ5レディスの後もう一度、私を見つめ直したことも良かった」と明かしている。
漆黒のウェアはより、強さを際立たせた。さらに、マスクを着用した優勝会見で、なぜ強いのか-その理由がわかった気がする。目力だった。意志の強さ、りんとした雰囲気など、内面の強さがあらわれている。
「また来年、強くなって帰ってきます」。このひとことも、宮城のファンを虜にしてしまった。
(メディア管理部・中山 亜子)
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