2022.9.28
藤田光里 今季初の68で首位浮上
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
JLPGAステップ・アップ・ツアー2022シーズン第12戦『Sky レディースABC杯』(賞金総額4000万円、優勝賞金720万円)大会第2日が9月28日、兵庫県加東市・ABCゴルフ倶楽部(6645ヤード/パー72)で行われた。この日も大混戦。通算5アンダーの安田彩乃、藤田光里、篠崎愛が首位に並んだ。1打差の4アンダーに篠原まりあ、宮澤美咲、松本珠利、福田侑子がつけている。3週連続優勝を狙うステップ賞金ランキング1位の櫻井心那は1オーバー、25位タイ。
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16番、スコアボードをチラッと見た藤田光里の表情が少し、変わったようにみえた。「目標は予選通過。必死にプレーしていたから、16番で初めて(スコアボードを)みた時、エッ…そんな感じです」。
ようやく、スランプ脱出の出口が見えた。5バーディー、1ボギーの68。60台のスコアをマークしたのは今季初めてだ。原因は今春、自主トレ中に発症した左の腿裏から、おしりの間の肉離れだった。「でも、試合は休まなかった。とくに第2戦は歩くのが精いっぱいの感じ。クラブを割としっかり振れるようになったのは最近です」と話した。
「考えてみれば、ストレッチをするとすごく痛い。だから、安静第一にしたことが逆に長引いた要因かもしれませんね」とも。この日は第1打のフェアウェイキープが、パッティングの良いストロークを後押しした。「コツコツとパーセーブを続ければいいとプレー。ただ、フェアウェイからの第2打が多く、苦しい感じがない」と表情が明るい。
3番でボギーを叩いたが、パー5の4番で5メートルのスライスラインを読み切り、バウンスバックに成功。9番では7メートルのバーディーを決めた。後半に入ると、ショットの切れ味が増してさらに3バーディー奪取。
際立ったのは1、3、5、7、11Wと5本のウッドを自在に使い分ける、JLPGAツアーでは珍しいクラブセッティングだ。「以前はユーティリティーを使っていました。だけど、今は安心感を優先。ショートウッドを入れている。一時はウッド6本、ウェッジ2本のセッティングがあったぐらい。ラフへ入るとちょっと苦労する時もありますけどね」と解説してくれた。
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
かつては、大器の評判が高かった。13年JLPGA新人戦加賀電子カップで優勝。プロ2年目、14年は賞金シードを獲得し、翌15年にフジサンケイレディスでツアー初優勝を飾った。ところが、手首の故障などが尾を引き、肘の手術などアクシデントに見舞われ、不振が続く。
「25歳を過ぎたら、コロナ禍で気がついたら28歳です。そういえば、20歳の頃ははやく引退したいなぁなんて思っていた」と前置きし、「けがをして思い通りにプレーできなかった時、私はゴルフが好きになりました。自分の力でJLPGAツアーへ戻りたい。開幕戦へ自力で出場したい-を目標にプレーしている」。淡々と胸中を語ってくれた。
週初めの26日が誕生日。今大会はバースデーウィークにあたる。「とりあえず、楽しかったらいい。そんな気持ちの毎日。目標のハードルを上げ、うまくいかないと途中であきらめてしまうタイプですから、1ホール毎に全力投球。無欲で大崩れしないようにやります」。
苦労と苦悩が相次いだプロ人生。ただし、我が道を行くスタイルは変わることがない。5本のウッドで見出した新スタイルに注目しよう。
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