2024.9.8
99点のパーフェクトV 竹田麗央-圧巻
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン公式競技・第2戦『ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会』(賞金総額2億円、優勝賞金3,600万円)大会最終日が9月8日、沖縄県名護市・かねひで喜瀬カントリークラブ(6,670ヤード/パー72)で行われ、竹田麗央が通算19アンダーで完全優勝を飾った。今季6勝目、公式競技初制覇。新時代の女王をアピールする内容だった。1打差の通算18アンダー、2位は終盤の追い上げが際立った山下美夢有。3位は通算15アンダーの藤田さいきが入った。
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《グリーン=スティンプ:9 3/4フィート コンパクション:23mm》
2度目のパーフェクト優勝を飾り、しかも初の公式競技制覇。竹田麗央は連日、恒例となった自己採点を、「99点」と即答した。満点には届かなかった要因を、「最後にバーディーで締めくくることができなかったからです」と説明。
終わってみれば、山下美夢有の猛追で1打差である。しかし、ファンをハラハラドキドキさせながら、それでも優勝-というスーパースターに共通する、勝負強さを全国、いや全世界へアピールしたのだ。
「途中、スコアボードを見て、(山下)美夢有さんが追い上げてくるのは、想定内。きょうの目標は通算20アンダーまでスコアを伸ばすことでした。大会レコードが20アンダーということは知っていた」といい、「きのうもきょうも、ちょっとプレー前から緊張した。それだけにスイングがカタくならないように、力を抜いてスタートした」そうだ。
4番、5メートルのフックラインをきっちり読んでこの日、最初のバーディー奪取。アドバンテージを握る。「カップ2つ分と読み、狙い通り」。続いて、パー5の5番は2オンを狙った。しかし、左手前のラフへボールが飛び込む。それでも、焦りはまったくない。今季、大躍進の要因のひとつ、ショートゲームで、第3打を1メートルへ寄せて、連続バーディーを奪った。前半、3バーディー、ノーボギーの内容はつけ入るスキを見いだせない。
それだけに、この時点でぶっちぎりを予想したファンも多かったに違いない。まさか、1打差の逃げ切りとは…。
ところが、「後半は皆さん、スコアを伸ばしてくる。追いつかれないようにすればいい。公式競技のタイトルは本当に欲しかったけど、そんな気持ちを出せば良い流れが逃げる。きょうは勝ちたい気持ちをうまくコントロールできた。それにしても、今大会は4日間、暑かったです。集中力を途切れさせないため、水分補給で気をまぎらわせた」。精神力のVということも強調した。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
大会第1日から関係者の間で、評判になったことがある。フェードボールのすごさだ。勝みなみが、こんな話をしていた。「勢いがすごい。今年、海外のメジャーへ4試合出て、すごくいいプレーをしていた。彼女はフェードヒッターだけど、飛距離が出てとてもうまい。アメリカツアーの硬いグリーンでも、うまくボールがコントロールできるでしょう。すごい強みだと思います」。
ドローヒッターから、転向したのは高校時代だ。「あまりよく覚えていないけど、フェードにしたら、ミスの幅が縮小。これで行く、と思った。ターゲットより左へ向くと、クラブが振りやすいから」と、言葉を区切り、「AIG女子オープンから帰国して、すぐに試合でした。それでも、ショットの調子がすごくいい。結果も良かった。その流れで今回は1Wの調子がいい。アドバンテージをとれました」と加えた。
こうなると、海外挑戦が待たれる存在になる。しかも、3年シードを獲得したからなおさらだ。そうはいっても、「来年から、はありません。もっと上手になりたいから」。さらに、意表をつく、目標が背筋を正して飛び出す。「次週はドライビング女王コンテストがある。去年、優勝できたし今年は連覇を目指しています」と、力強く宣言した。
今季、JLPGAツアー初Vから、早くも6勝。「JLPGA小林会長(初優勝からの年間優勝記録)に並べたことが光栄です。毎週、試合があるから過去は振り返りません。それはシーズンが終わってからでいい。はい、次は-そんな感じで出場する試合、ベストを尽くすことが私のスタイルです。変える必要はありません」。信念が揺らぐことはなかった。
ここまで21試合で6勝。残りは11試合ある。ひょっとしたら不滅といわれてきた、不動裕理の年間10勝を超えるかもしれない。そんな期待を抱かせる、ファンに夢を与えた優勝だった。
(青木 政司)
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