2015.8.16
集中力が生んだ逆転V テレサ・ルーが今季3勝目
<写真:Masterpress/Getty Images>
2015年LPGAツアー第22戦『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)の最終日が8月16日、長野県北佐久郡軽井沢町の軽井沢72ゴルフ北コース(6,583ヤード/パー72)で行われた。3位から出たテレサ・ルーが5バーディー、ノーボギーの67をマークし、通算14アンダーで逆転優勝。今季3勝目をあげた。通算12アンダーの2位タイは、酒井美紀、渡邉彩香が入った。また、通算9アンダーの10位タイでホールアウトした申ジエが、連続ノーボギー記録を77ホールに伸ばし、史上2位の宮里藍に並んだ。(天候:曇り時々雨、気温:20.0度、風速:2.3メートル)
鉄は熱いうちに打て、とはよく言われることだが、テレサ・ルーの流儀は、鉄が熱いうちに勝つ。「夢みたい」と全身で喜びを表したのは、こんなわけがあった。「全英女子オープンで学んだことを忘れないように…」。最終日最終組は、今回と同じ状況だ。ただ、『全英リコー女子オープン』は、首位タイからのスタート。「みんながメジャーに勝つことを期待していた。私も優勝したい、と思って、1番からそんなことばかりを考えていました。それがいけない。開幕前は予選を通ったらいいなぁ、と思う程度で、優勝のことなんか、全く頭になかった。欲を出してはいけない。だって、私はメンタルが弱いから…」と、敗因を分析した。結果は6位だったが、今大会でその経験が生かされる。「最終日、他の選手もスコアを伸ばしてくる。だから、スコアボードを見ない。優勝はもちろんしたい。でも、それより大切なのは、どうやって自分のプレーをするかです」
この日は、1番からショットが冴える。1日を通して、「アイアンショットがすごかった。ピンそばにバンバン。たくさん、チャンスがあった」と自画自賛したのは、スコアを気にせず、リラックスムードだったから。男子顔負けの切れ味と精度を誇っている。「私のアイアンはフェースがとても小さい。何よりも打感を重視しているからです。いろいろなボールを打ち分けることができるし、ものすごく気に入っている。飛距離はそれほど重視していない」と明かす。5番アイアンを選択した3番パー3でも、カップに20センチにつけ、楽々とバーディーを奪い首位に立つ。その後は、1度もその座を明け渡すことなく、とにかく付け入るスキがなかった、というのが、優勝争いを演じたライバルたちの感想だろう。
「途中で、ちょっとスコアボードを見たくなったけど、そこは我慢。最初に見ない、と決めたからきっちりと決めたことを守った。初めて見たのは18番でした。おかげで、緊張することはなく、プレーだけに集中できたのが大きい」と語っている。
経験をきっちりと生かして、同じミスを繰り返さない。ルーが日本ツアーに参戦し、より強くなったのが、ここだ。「日本に来てツアーに出た1年目は予選落ちばかり。キャディーさんからいろいろ教えられ、ミスを簡単にしない、というコースマネジメントができるようになった。昔はグリーンを外したら、ボギーが出て、アプローチをたくさん練習した」と恥ずかしそうに話した。
今季3勝目をあげ、イボミの独走ムードが漂っていた賞金女王レースもガ然、おもしろい展開に。ところが、ルーの目標はただひとつ。「平均ストロークを少しでも下げることに徹します」とキッパリと言い切っている。目指すは、日本ツアー初の年間平均ストローク60台。よそ見をせずに一点に集中する。ちなみに、来日6年目でもなかなか克服できないこともあった。「優勝スピーチとインタビューは、ゴルフより何倍も緊張します」。トッププロである限り、これだけは避けては通れない。
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