1. ホーム
  2. ニュース&トピックス
  3. ブラインド作戦で逆転V 笠りつ子が存在をアピール

2016.8.14

ブラインド作戦で逆転V 笠りつ子が存在をアピール

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 2016年LPGAツアー第23戦『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』(賞金総額8,000万円、優勝賞金1,440万円)の大会最終日が8月14日、長野県北佐久郡軽井沢町・軽井沢72ゴルフ北コース(6,614ヤード/パー72)で行われ、笠りつ子が通算13アンダーで今季初優勝を飾った。2打差の通算11アンダーは佐伯三貴。(天候:曇り 気温:21.7℃ 風速:3.3m/s)

 優勝にはプラスアルファが必要不可欠。いくら調子が良くても勝てなかった笠りつ子へ、ついにその時がきた。「やっと勝てた」。7バーディー、1ボギーと圧巻の内容。周囲には明かさなかったが、この日はスコアボードを1度も見てはいない。優勝争いをしていることは肌で感じていたものの、自身がトップでホールアウトしたことは、スコア提出時にわかったという。

「プロになって、初めてホール途中のスコアボードを見ずにプレーした。最終日の目標は、良くても悪くても、ベストをつくす。自分のゴルフに徹すること。でも、スコアの目標は立てていた。7アンダーを出したい。そう言い聞かせて頑張った」と総括している。

 常に明るく、いつも笑顔を絶やさない。しかし、「自分には何が足りないのか」と、4月から自問自答の毎日。ところが、結果が出ない。こうなると信頼できる人へ相談したくなる。まず、アドバイスを求めたのは、故郷・熊本の先輩、古閑美保。『勝ちを獲りに行け! パッティングは、自分からカップヘ飛び込んでいくようでなければ決まらない』とハッパをかけられた。続いて、指導を受けている片山晋呉には、『待つことだ。そうすれば、勝つときが来る』と。

 3人目はメンタル面の指導をうけるコーチだ。『周囲の期待に、自分の気持ちが追いついていかない? それは違う。誰があなたに期待するのですか』。いうことは違うが、いずれもごもっともだった。そうした意見を自分で独自に取り入れ今回、披露したような強いメンタルをつくりあげている。

 4月14日の熊本地震から、この日で4ヶ月。実家が被災し、自身の部屋は、集中豪雨の影響もあって、「天井が落ちてしまった。もう、住める状況ではない」。一方で、両親が経営しているゴルフ練習場は、被害が少ないために営業を再開。ただし、管理する、母・優子さんは約2ヶ月間、車で寝泊りし、現在も事務所内へ簡易ベッドを持ち込んで生活する毎日だ。

 「母とは、4ヶ月間、会っていない。だけど毎夜、メールが来る。頑張れ、あきらめるな。ペット一同も応援している…という、だいたい同じ文面です」といい、「熊本地震の後、いいプレーができているのは、きっと地元の皆さんの後押しがあるからでしょう。今回はいい報告ができる。熊本の人たちは強いし、今は復興へ向けてみんなが前向きです」と加えた。

 賞金ランキングは、もっか日本人選手最高の4位。改めて、「日本人として負けてはいられない。常に勝てる選手になるのが目標です」と誓っている。勝利は選手を大きく成長させる特効薬。次週からは、もっと強い、笠りつ子が見られるはずだ。

このニュースをシェアする

記事検索記事検索ARCHIVE

search検索