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2020.9.10

スーパールーキー・笹生優花 18番の警鐘

<Photo:Ken Ishii/Getty Images>

日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)第1日

 笹生優花は19歳のルーキーにして、JLPGAツアーの今季賞金ランキングのトップを快走中。プロ日本一決定戦の今大会も首位に2打差の5位タイ発進と好スタートを切った。

 この日も順調にノーボギーのプレーを披露。ところが、パー5の最終18番で大ピンチに見舞われる。ツアーきっての飛ばし屋は、あえて3UTを選択。放った第1打は左へ出て、斜面をコロコロと転がり始める。誰もが0Bを確信した瞬間、水面を前にボールがピタリと止まった。「ついていた。迷った末に1Wで打たなかったのがよかった」と振り返る。

 第2打をフェアウェーへ出し、第3打はスーパーショットをイメージ。しかし、またもミスが重なり、ボールはバンカーへ転がった。結局、ボギーで収めたものの、「明日から気をつけなさい。そういうことだと思います」と、戒めている。

 8月のNEC軽井沢72ゴルフトーナメント、ニトリレディスで2試合連続優勝。全くコースレイアウトが違う、JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部でも、「難しいのは事実ですけど、どうやっていいスコアを出すかを考えるのが、プロ」と言い切った。プロフェッショナルは成績がすべて。初の公式戦でも、「毎週、同じように戦っていきたい。力が入ったり、気持ちが高ぶったりしないようにする」と自然体を貫く。

 そうはいっても、ここだけは別だった。昨年11月、最終プロテストの会場であったことに、「とても複雑な気分です」と話している。18位タイで一発合格。とはいえ、「100人が挑戦して、合格は上位の20人だけです。成績が出て、悔しがっている人たちを見ていると、私も悔しくなった。みんなで合格できればよかったです。私は合格しても笑うことができない。笑える場所ではなかったです。だから、戻ってきたいとはあまり思わなかった」と、やさしさと複雑な心境を語っている。

 日本人の父と、フィリピン出身の母の間に生まれ、小学3年からフィリピンで単身のゴルフ修行。さらに、11歳から米国、豪州、東南アジアなど16か国で試合へ出場している。苦労が多かった人生は、思いやりにあふれていた。

 第2日、教訓になった18番をどう攻略するのだろう。プロの意地を見たい。

(オフィシャルライター・宮脇 廣久)

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