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2021.9.12

大会新で最強の冠 稲見萌寧『さらに、完ぺきを』

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGA ツアー2020-21シーズン第41戦『日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯』(賞金総額2億円・優勝賞金3,600万円)大会最終日が9月12日、茨城県常陸大宮市・静ヒルズカントリークラブ(6,680ヤード/パー72)で行われ、稲見萌寧が大会新記録の通算19アンダーで圧勝した。この日は8バーディー、ノーボギーとつけ入るスキがない。1番で首位に並ぶとバーディーを重ねながら、念願の公式競技初制覇。女子プロナンバーワンへ輝いた。JLPGA通算9勝目、シーズン8勝目は最強のインパクトにふさわしい。4打差の通算15アンダー、2位は西郷真央。通算14アンダーの大山志保が3位だった。
(天候:曇り 気温:25.8℃ 風速:1.9m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/2フィート コンパクション:23mm》

 女子プロ最強決定戦にふさわしい、最終日の内容だった。アートともいえる64ストローク。念願の公式競技初優勝を果たした稲見萌寧は、「目標のトーナメントで優勝できた。うれしい。4日間、楽しくプレーができた」。笑顔を浮かべながら、淡々と語っている。

 8バーディー、ノーボギーと完ぺきなラウンド。スタートから、スキが全くない。すべてがベストプレーというそうだが、特に13番のバーディー奪取を喜んだ。「パーか、ボギーのイメージでした」という。

 なるほど、第1日、第2日はボギーで、第3日がパー。それが、この日は3Uを選択した202ヤードの第2打を、ピン右奥3メートルへ運んだ。そして、バーディーパットを、カップのど真ん中から放り込む。3日間の借りはきっちりと返した。

 静ヒルズカントリークラブを攻略したことも、満足できた要因だろう。「小学生の頃から、プレーさせていただき、ただただ難しい-そんな印象。今回だって、アンダーパーのスコアが出るのかと、練習ラウンドの時から心配していた。本当です。公式競技でなくても、このコースは難しい。怖気づいて、ビビリながら」と真顔で答えた。

 それだけに、「決勝ラウンドの2日間、大きくスコアを伸ばしたことが信じられない」。心の声をストレートに伝えている。通算19アンダーは大会新記録になった。「プロのトップになるなんて思ってもいなかったことです。開幕前は、予選を通過したい。その一心でしたからね。目標をひとつクリアしたら、気分が楽になって、よしっ、もうひと頑張りしよう。しり上がりに調子があがって、優勝です。それがうれしくてたまらない」と言葉が弾む。

 一方、スーパープレーを繰り出す、精神面の充実について、こんな分析を。「ずっと、体がコチコチになるほど、集中しても疲れてしまうだけ。やっぱり、楽しい方がいいでしょう。そういうことって、意識はしていない。私は、きょうもそうだけど、大山さん、西郷さんといった素晴らしい選手とプレーでき、心からうれしいと思う」と前置きし、さらに思いをはせた。

 「ゴルフをやる前からそうだったかもしれない。勉強は集中して行うことは当然ですけど、休み時間も集中して遊ぶ。日々の練習でも、友人と勝負をしながら行ったりして、遊び心も大切かもしれません」と加えている。

 記録でいえば、シーズンの獲得賞金が史上2人目の2億円という大台を突破。2015年、イボミの最多獲得記録、2億3049万7,057円を塗りかえることも現実味を帯びてきた。今シーズン、ついに賞金ランキング、メルセデスランキングと、それぞれ1位へ。これまた、最強の冠にふさわしい。

 「記録に関しては今、知ったところです。それほど意識をしていないし、最終的にそうなったらうれしいと思う。そういえば、11番にさしかかった頃、17番の手前にいた(イ)ボミさんとすれ違って、笑顔で手を振ってくださった。私にとってもアイドルだし、スーパースター。すべてを兼ね備えているすごい人」と、余談をまじえながら、ほのぼのムードで語る。

 その表情は、充実のプレーを終えたからだろう。とてもやさしかった。しかし、会見の終了直前、「圧倒的というか、誰も勝てないぐらいの実力をつけたい。不可能だと思うけど、どんな状況、どんな調子、何をやっても60台でプレーをしてみたいです。大差をつけて勝ち続けることが理想であり、夢。完ぺきということをまた、突き詰めていきます」と締めくくる。

 ゴールは遥か彼方。さらに勝利へ貪欲となり、慢心とは無縁である。

(メディア管理部・中山 亜子)

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