2023.4.9
昨年女王・山下の今季初Vの要因は初のノーボギー「パッティングを決め切れた」
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第6戦『富士フイルム・スタジオアリス女子オープン』(賞金総額1億円/優勝賞金1,800万円)大会最終日が4月9日、兵庫県三木市・花屋敷ゴルフ倶楽部 よかわコース(6,435ヤード/パー72)で行われ、昨年の年間女王・山下美夢有が通算9アンダーで今季初、通算7度目のJLPGAツアー優勝を果たした。1打差の単独首位で発進した山下は途中、岩井千怜に抜かれ2打差をつけられる場面もあったが、粘り強く追いつき、首位に並んで迎えた最終18番で突き放した。今大会は第1日が悪天候のため中止となり、36ホールの短縮競技で行われた。
(天候:晴れ 気温:14.2℃ 風速:1.8m/s)
《グリーン=スティンプ:10 1/2フィート コンパクション:24mm》
ここ一番で、山下美夢有が昨年の年間女王の貫録を見せた。同組の岩井千怜と首位に並んで迎えた、最終18番パー4。岩井が第2打をグリーン手前のバンカーに打ち込み、目玉になってしまったのに対し、山下は得意の5Uでピン横1.5メートルにピタリと付けた。両者の第2打で勝敗が分かれたと言っていい。
岩井がボギーとなった後、山下はパーでも優勝決定の状況で、バーディーパットを外し、思わず天を仰いだ。「それほど距離もなかったですし、下からの簡単なラインだったので、ぜひ決めたかったです。初優勝した(2021年の)KKT杯バンテリンレディスを思い出しました。あの時も優勝は決まっていたのですが、最後に1メートルくらいのバーディーパットを外してしまいましたから」と苦笑したが、それもご愛敬。決めなければならない所ではきっちり決め、今季初優勝に漕ぎつけた。
地元の関西での試合。この日も父の勝臣さんと母の有貴さんがギャラリーに混じり、18ホールを付いて回った。山下が5歳で初めてクラブを握ったのと同時にゴルフを始め、良きアドバイザーを務めてきた勝臣さんは、山下が今季過去5戦で優勝できなかった理由について、「去年ができ過ぎだったのですが……」とした上で、「問題はパッティングだと思います。1.5メートルくらいのパーパットをよく外しています。一昨年は86ホール連続ノーボギーのJLPGA記録を作ったほどだったのに、今年はノーボギーのラウンドがまだ1度もありませんから」と分析していた。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
実際、今季初優勝の要因もパッティングにあった。単独首位で最終日を迎えたものの、1打差の2位でスタートした岩井に逆転され、8番終了時には2打差をつけられた。「追いかける立場になり、攻めたい気持ちが強くなりましたが、手前に外すとボギーが待っている位置にカップが切ってあったので、ショットではなかなか攻め切れない。そんな中、パッティングで決め切ることができました」と自ら解説した。10番で7メートル、13番でも7メートルのバーディーパットを決めて1打差に迫り、14番の岩井のボギーで追いついたのだった。
終わってみれば、4バーディーを奪う一方、今季初めてノーボギーでラウンドを終えた。山下は「ノーボギーを第一に心掛けていたので、達成できてよかった。パットを決めきれたと思います」と笑みを浮かべ、勝臣さんも「やはりパッティングがポイントでしたね」とうなずいた。
次週は、山下が熊本で思い出のKKT杯バンテリンレディスに臨む一方、近大在学中の弟・勝将さんも大阪府で行われる関西オープンに参戦する。勝臣さんは「とりあえず妻と2人で関西オープンの応援に行き、最終日に優勝の可能性があるようなら、妻にはバンテリンレディスへ回ってもらいますよ」と苦笑。さらに、妹の蘭さんも高校に入学し、ゴルフ部で本格的に競技を始めた。家族に愛情と刺激をもらいながら、今年もまた山下の快進撃が始まる予感が漂っている。
(JLPGAオフィシャルライター・宮脇 廣久)
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
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