2023.5.27
プロ初Vの高野あかり『息の長い選手になる』
<Photo:Toru Hanai/Getty Images>
JLPGAステップ・アップ・ツアー2023シーズン第7戦『地域みらいグル-プレディス佐嘉窓乃梅カップ』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)大会第最終日が5月27日、佐賀県武雄市・武雄ゴルフ倶楽部(6,420ヤード/パー72)で行われ、ルーキーの高野あかりが逆転でプロ初優勝を飾った。首位から2打差の3位タイからスタート。3バーディー、1ボギーの70をマークし、通算8アンダーで大混戦を制した。1打差の通算7アンダー、2位タイは千葉華、武尾咲希など5人。
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ステップ・バイ・ステップが身上である。プロ初勝利を飾った高野あかりは、ルーキーとはいえ27歳。昨今のJLPGAの流れからすれば、すでに中堅の年齢といえるだろう。
それだけに、初体験のウイニングパットは人生でかつて経験したことがないほどの緊張感があった。「迷っても仕方がない。まっすぐに打とう。80センチだったけど、とにかく慎重に決めることができた」という。続けて、「うれしい。びっくり。そんな気持ちが一気にわいてきて…。優勝の実感は少しもありません」とも。
最終日は首位から2打差を追いかけた。チャンスを確実にものにする。2、10番で手前から4メートルのバーディーを決めた。得意のショートゲームとパッティングでしぶとさを発揮する。そして、この日のハイライト、パー3の12番を迎えた。7Iでピン手前7メートルにつけ、鮮やかにカップイン。また、ピンチを迎えた14番でのバンカーショットもお見事の一語である。
「優勝は少しだけ頭にあったけど、10アンダー以上-を目標にスタート。とにかく集中してプレーすることを心がけた。そして、15番でスコアボードを見たら、私の名前が一番上に…。驚きました」と、真顔で語っている。とはいえ、楽には勝てるものではない。17番は第1打を右へ曲げて、それが要因でボギーを叩いた。
しかし、より集中力が増したのだろう。最終18番のティーイングエリアでは気迫に満ちた表情が印象的。「この3日間、パー5でひとつもバーディーがとれていない。このまま終わるのは悔しかった。だから、バーディーをとることに全集中です」。3オンで5メートルのバーディートライは、カップをオーバーしたが、この積極性は次へつながる新たなテーマと捉えた。
振り返れば、この日が来るまで苦難の連続。「高校在学中もプロテスト受験を考えたけど、とても実力が足りない。そこで大学進学を選択。それから日本女子アマなどに出場し、徐々にうまくなってきた。プロになろう、と決断したのは大学2年。就職はしなかった。そのままプロを目指すことに…」と言葉を区切った。
昨年11月、最終プロテストで合格。5回目の挑戦だった。「毎回、受験に失敗するとやめようと思ったけど、これで終わっては悔しい。つらかったけど、5回で最後と決めたら、合格することができた。何といっても、両親が必死に応援してくれたことが一番。ようやく、きょう良い報告ができます」と胸をなでおろす。
ただし、浮ついた様子などまったくない。「27歳だから、まわりの選手と比較すると遅れをとっている。これまでのように、徐々にしか強くはなっていけないでしょう。だから息の長い選手になる。1勝で終わりたくありません。これからが大事です」と、決意を新たにしている。
ゴルフは生涯スポーツ。我が道を行くスタイルを支えるのは、類まれな精神力である。
<Photo:Toru Hanai/Getty Images>
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