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2023.7.2

櫻井心那が掲げるツアー初優勝の次なる目標とは

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 JLPGAツアー2023シーズン第18戦『資生堂 レディスオープン』(賞金総額1億2,000万円/優勝賞金2,160万円)大会最終日が7月2日、神奈川県横浜市・戸塚カントリー倶楽部西コース(6,605ヤード/パー72)で行われ、櫻井心那と桑木志帆が通算10アンダーでホールアウト。プレーオフを行い、2ホール目でバーディーを奪った櫻井がツアー初勝利を飾った。敗れた桑木は自己最高の2位に。2週連続2位に終わっていた岩井明愛は通算9アンダーの3位に入った。さらに1打差の通算8アンダー、4位に宮田成華が入った。
(天候:晴れ 気温:29.2℃ 風速:3.1m/s)
《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:23mm》

 JLPGAツアーと下部ツアーに当たるステップアップツアーではコースセッティングも違えば、出場する選手のレベルも異なる。とはいえ、ツアー優勝経験者もいれば、アマチュア時代に優秀な成績を残した選手もいる。そんな中で年間5勝を挙げた櫻井心那の実力は本物だった。

 首位と1打差の通算6アンダーでスタートした櫻井。首位グループに離されないように必死だったが、16番ホールを終了時点で、同組でラウンドした首位の桑木志帆に2打遅れていた。勝つためには連続バーディーを奪うしかない。

 「そうじゃないと勝てないことは分かっていましたから」。17番・パー4ではピッチングウェッジを短く持ち、方向性重視のコンパクトなスイングを心がけると、あわやイーグルというスーパーショットでピン上20センチにつける。それを沈めると、18番・パー4でも第2打をピン左90センチにつけ、狙いどおりの連続バーディーで桑木とのプレーオフに持ち込んだ。

 そして迎えたプレーオフ2ホール目、残り80ヤードから58度で放った第2打はピンの上約2.5メートルに止まる。考えてみれば、本戦の18番でも残り99ヤードの距離から第2打を放った。今大会前にコーチを呼んで徹底的に練習した100ヤード以内の距離だ。「正直苦手な距離なんですが、腹をくくってチャレンジしてみようと思って打ちました」と振り返る。十分練習した距離だからこそ、いい意味で開き直れた。

 あとはもう一つの課題でもあるパッティングだ。最終18番では90センチのパッティングといえども簡単なラインではなかっただけに慎重にストロークすることができた。ただ、不思議とプレーオフ2ホール目でのパッティングを迎えた時は気持ちが落ち着いていたという。「ラインとタッチを決めたら、あまり考え過ぎないように時間をかけず、いつものルーティーンでアドレスに入りました」。下りのラインだけに簡単ではなかったが、微妙なスライスラインを読み切り、ウイニングパットを沈めると、右手で握りこぶしつくり、ガッツポーズを見せた。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 実は、櫻井には昨年から決めていたことがある。今年の9月7日から開幕する日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯に優勝することだ。なぜなら、出身地である長崎県のパサージュ琴梅アイランドGCで開催されるからだ。そのために、このオフには同学年の川﨑春花らと下見を兼ねてのラウンドも行ってきた。大会前に行った100ヤード以内の練習も本来は同大会に向けてのものでもある。その前に優勝争いを経験しておきたいところだったが、優勝までたどり着けたのは嬉しい誤算だろう。

 もちろん、実力がなければJLPGAツアーで優勝することはできない。最終日のドライビングディスタンスでは262.0ヤードを記録し、出場選手の中で1位だった。ドライバーの飛距離があったからこそ、第2打を短いクラブで打つことができ、結果的にバーディーチャンスも多かった。どちらにせよ、櫻井が掲げる次の目標に大きく近づいたことは確かだ。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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