2023.7.23
5連続で圧倒・圧巻 小滝水音ツアー初V
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第20戦『大東建託・いい部屋ネットレディス』(賞金総額1億2000円、優勝賞金2160万円)大会最終日が7月23日、福岡県糸島市・ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(6540ヤード/パー72)で行われ、首位スタートの小滝水音が通算18アンダーでツアー初優勝。この日、前半は大混戦ながら、後半12番から5連続バーディーで後続を一気に突き放した。2打差の通算16アンダー、2位タイは小祝さくら、吉田優利。
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《グリーン=スティンプ:9フィート コンパクション:20.5mm》
黄金世代は個性豊かな逸材揃い。小滝水音が同世代13人目のツアーウイナーとなり、同通算42勝目を飾った。プロ7年目。ここまでがうそのような大変身を遂げている。
今大会は今季のツアーでも指折りの大接戦が第1日から。最終日、バック9へ入るとプレーオフ確定のささやきまでギャラリーから漏れてきたほどだ。ところがー。
12番から強烈なチャージがスタートした。パー3・12番。7Iのショットはピン方向へ飛んでいく。1メートルにつけ、楽々とバーディー奪取に成功する。続く13番は右バンカーから残り30ヤードを52度でチップイン。勢いが増した。何と、最終プロテスト合格後、初の5連続バーディーで2位以下を突き放す。
もっとも大切な局面で、スーパープレーが飛び出すとは想像もつかなかった。「子どもの頃から、私は強運-と思い続けていたんです。女の子向け雑誌の懸賞へ応募すると当選。ゴルフでも、トミーアカデミーの一期生です。それから、最終プロテストも一発合格など、運に恵まれてきました」と振り返っている。
ただし、勝負となると話は別だ。ここまで最良の成績は18年、樋口久子 三菱電機レディスの3位タイ。黄金世代とはいうものの、ほぼ無名の存在だった。最大の転機は5月、台湾で開催されたステップ・アップ・ツアー、CTBCレディスオープンで優勝。「勝つということがどういうことか。それからプロで初優勝。すごく自信がわいてきた」。論より証拠ということだろう。
そして、ワンプレーもせずに終わった第3日の帰り際には、「日本で優勝してみたい」と瞳を輝かせた。23年は一大転機。確かに運がいい。QTランキングは114位でスタート。だが、今季2戦目のリシャール・ミル ヨネックスレディスで8位タイと健闘して、第1回リランキングで43位へ。中盤戦の出場権をつかんだ。ちなみに、この試合も短縮競技。嵐や荒天の直後、なぜか幸運がめぐってくる。強運の人に違いない。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
そうはいっても、人一倍の努力を重ねていることも間違いない。練習は当然だが、精神面の強化も。19年オフ、オーストラリアへ約1カ月のゴルフ留学へ出かけた。「午前は大学で授業を受けて、午後はトレーニング方法や技術を学んだ。その時、以前、JLPGAツアーで活躍したジェニファー・セビルさんと知り合い、メンタルの保ち方を教えていただいている。以前から、英会話を独自で学んでいた。メンタルトレーニングは今も、オンラインで継続しています」と明かしている。
ちなみに、小祝さくらが「ゆるキャラのよう」と漏らしたことについて、質問を受けると、「ゆるキャラ・・・。うーん」と首をひねったが、「確かに私は不思議な人かもしれません。団体行動が苦手で、フワフワしていますからね」。とてもそうは感じない。
大切にしていることがある。最終プロテスト合格後、師である中嶋常幸からおくられた言葉だ。「個性を失うな。今のままでいい」。まさに金言である。
(青木 政司)
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