2023.7.29
最終ホールでイーグルを奪った鈴木愛が単独首位に
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第21戦『楽天スーパーレディース』(賞金総額1億円/優勝賞金1800万円)大会第3日が7月29日、兵庫県加東市・東急グランドオークゴルフクラブ(6636ヤード/パー72)で行われた。前日首位タイにいた鈴木愛が通算17アンダーまでスコアを伸ばし、単独首位に。通算15アンダーの2位に櫻井心那。1打差の通算14アンダー、3位にイミニョンが浮上した。
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《グリーン=スティンプ:10フィート コンパクション:22mm》
通算15アンダーの首位タイで迎えた最終18番・パー5。ピンまで残り255ヤード地点から3番ウッドで放った鈴木愛の第2打は、グリーン手前の花道で残り44ヤード地点に止まる。ここからしっかりとピンに寄せ、バーディーを奪えば2位に1打差をつけた単独首位で最終日を迎えることができる。しかし、鈴木の中ではさらに上の結果を狙っていた。
「ほぼ同じところから吉田(優利)さんが打ったんですが、それを見ていたおかげでピンが立っている上段にボールを止めるイメージはできていました」
鈴木のボール位置からグリーン面は軽い打ち上げで、ピンは2段グリーンの上段に切られていた。風はフォローだっただけにスピンはかかりにくい。大きめに打ってバックスピンで戻すよりも、距離を短めに打ち、ボールを風に乗せつつピンの手前に落とす作戦をとった。
58度のウェッジを持ち、ボールを打つ前に素振りを3回繰り返した鈴木。しっかりとボールが飛んで行くイメージをつかむと、ゆっくりとアドレスに入り、クラブを振り抜いた。予定どおりピンの手前に落ちたボールは、数回跳ねた後にブレーキがかかり、ひと転がりでカップの中へと消えていく。それを確認すると、思わず両手を挙げてバンザイポーズをとりながら何度もジャンプ。喜びを全身で表現するほど嬉しい1打だった。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
この日はイーグル以外に5つのバーディー(1ボギー)を奪った鈴木だが、最初のバーディーは4番・パー5だった。ティショットを左の林に曲げたため、ピンを直接狙うことができない。そこでピンまで残り167ヤードの距離を8番アイアンで低いフックボールをかけてグリーン手前の花道まで運んで見せる。そこからあわやチップインイーグルかと思うほどベタピンにつけた。「今日は数回チップインイーグルのチャンスがあり、それを外していました。でも、最後に入ってくれたからいいです」。ある意味、最終ホールに向けて何度かいい練習ができていたからこそ、最後にご褒美が来たのかもしれない。
2位以下に2打差をつけて最終組を迎える鈴木だが、優勝に対する変な気負いはないという。「まるでシーズン序盤のように最初の数試合を探り探りで戦うような感じです」。前週の試合が数週間ぶりの出場となるなど、しばらくゴルフから離れていたこともあり、自分に期待し過ぎることはない。むしろ、淡々とゴルフをできている精神状態だ。攻めていくことを考えず、目の前の1打を大切にするゴルフだからこそ、唯一叩いたボギーにも腹は立たない。最終日も18ホールを自然体で回るつもりだが、余計な力みが入らない分、2年ぶりの優勝を手にする可能性は大きいかもしれない。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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