鈴木愛　2年ぶりＶで会得した心・技・体

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

　JLPGAツアー2023シーズン第24戦『CAT Ladies 2023』（賞金総額6000万円、優勝賞金1080万円）が8月18日、神奈川県箱根町・大箱根カントリークラブ（6638ヤード/パー72）で開幕。17日はプロアマトーナメントが行われた。

　2年ぶりVの後は、オープンウィーク。ただし、今回の鈴木愛は迷いから解放され、すっきりした表情が印象的だ。「とてもビックリしたのは、北海道ｍｅｉｊｉカップの最終日、表彰式や会見が終わって携帯電話をみたら、ラインやメールなどすごい数です。こんなに、私のことを心配してくださる人がいたんだ･･･。もううれしくて、うれしくて。私がプレーしている意義、意味を改めて良かったと感じた」という。自身が置かれた立場、存在を改めて考える一週間だったそうだ。

　その意味で、コロナ禍などで変調をきたした2年間は将来を見通せば、それはもうプライスレスの経験になったことだろう。ただし、いつまでも感慨に浸っている暇などはない。

　「世の中、うまくいかないことの方が多い。だけど、そういう時期でも、練習やトレーニングを怠けずに地道に続けていく。以前は、トレーニングなど大嫌いでしたけど、やり続けて良かったなぁ。ムダなことなどない。何よりも優勝して味わう喜びは、もう言葉では言い表せないほどです。そのために、やってきた。これが、以前とは違った－私の成長ですね」と気持ちを新たにしている。

　その上で、これから後半戦の目標を、「2試合は勝ちたい」と意欲的だ。なるほど、公式競技はまだ3試合も残っている。ところが、ここからが、いかにもこの人らしいところだった。

　「確かに、公式競技を勝てればいいなぁとは思っている。だけど、絶対に勝つ－と今、考えているのは大王製紙エリエールレディス。私は常に試合へは全力投球だから、こだわりがあるほうではありません。でも、エリエールだけはずっと負け続けている。もう、どんなことをしてでも、もぎ取りたい」と、真剣なまなざしで口調が熱を帯びている。まさに、負けず嫌いの真骨頂。

　さて、今大会に関してはどうだろうか。「感触は悪くはない。だけど、休み明け。第1日より第2日。少しずつ、調子を上げながら最終日を迎えたい」と超がつくほどの自然体で構えている。振り返れば、2週前もこんなパターンで黙々と調整をしてきた。人は変わる。29歳を迎えた新境地を垣間見せた。