2024.3.3
開幕V 岩井千怜がトーナメントレコードで快勝
<Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン開幕戦『第37回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会最終日が3月3日、沖縄県・琉球ゴルフ倶楽部(6,595ヤード/パー72)で行われ、岩井千怜がトーナメントレコードの通算18アンダーで快勝。ツアー通算5勝目を飾った。2打差の通算16アンダー、2位は西郷真央。通算11アンダーの菊地絵理香が3位だった。
(天候:曇り 気温:15.9℃ 風速:4.6m/s)
《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:23.5mm》
呼吸を忘れるような緊張感が漂う。西郷真央とのマッチレースを制し、トーナメントレコードを大幅に更新した岩井千怜は、本当に強かった。「これまであげた4勝とは違う、新しい勝ち方ができたと思う。一騎打ちですから」。
この日は都合4回、首位に並ばれた。「競っていても、プレッシャーを感じたことは一度もない。(スタート前が1打差で)どこかで追いつかれるだろう、と予想していたし、その時は無心になる。そして、攻め続ければいい」が事前の心構えである。
ターニングポイントは15番。前日、ダブルボギーを叩いたことを忘れてはいない。常に、バーディーを狙うことを心がけているが、この時ばかりは例外だ。「きつかったです。きのうのダブルボギーがあり、何かが起きるだろうという予感があった。きのうは第1打を右へ曲げたことが、叩いた要因です。きょうはとにかく、それだけは避けたい。クラブを振り切ることだけに注力した」と安全策をとった。
加えて、グリーン上でも、「距離は6メートルぐらい。ラインがよくわからなかった。だから、3パットだけはしないように」と、細心の注意を払いながらパーセーブで切り抜けている。このホール、西郷はボギー。続く、16番で5つ目のバーディーを奪取する。3打のアドバンテージを得て、優勝をグイッと引き寄せた。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
強い精神力までクローズアップされた18ホール。「今オフのトレーニングがとにかく、つらかった。早朝から目一杯です。どのメニューが一番きつい、と選べないぐらい全てが苦しかった。食事がノドを通らないことも結構・・・。毎日、限界を超えていたけど、負けたくない。世界へ行きたい。笑顔を見せたい。後悔をしたくない-そんな気持ちがわいてきて続けることができたと思います」と、言葉を区切り、「きつい勝負でしたけど、スイングが安定している。これがトレーニングの効果だ、と実感しながらプレーができた」と打ち明けている。
一方、開幕前から連日、「バーディーをとって皆さんへ元気を届けたい」と語ったことにも言及。「小さい頃から父に、こまっている人がいたら手を差し伸べる-そう繰り返し、繰り返し言われました。今年、お正月から(能登半島地震)ニュースをみて、力になりたい、と思った。それで、私にできることは何かと考えたら、一番は元気を届けることです。だからバーディーをとる姿、優勝をする姿、プレー中の姿をお見せしたい。もちろん、ファンの皆さんへも」と、居住まいを正して、神妙な表情で話した。
今季はサウジアラビア→タイ→沖縄とすでに3連戦。元気を届けるためには、これからがもっと大切なのだ。
(青木 政司)
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