2024.5.11
チェンシュエン逆転-苦悩の果てにプロ初優勝
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
JLPGAステップ・アップ・ツアー2024シーズン第4戦『CTBCレディスオープン』(賞金総額3,000万円、優勝賞金540万円)大会最終日が5月11日、台湾・桃園市Orient Golf and Country Club(6,507ヤード/パー72)で行われ、チェンシュエンが通算3アンダーで優勝。大激戦を制した。1打差の通算2アンダー、2位はホウユーチャン。通算1アンダー3位タイにサイペイイン、チャンツーイーなど4人が入った。この日、70とアンダーパーをマークした権藤可恋が9位。
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うれしい、うれしいチェンシュエンのプロ初優勝は、クラブハウスリーダーとなってハラハラ、ドキドキの長い時間だった。
「本当にうれしい。もう、何といっていいか…。うれしい以外、言葉が出てこない」と、満面の笑顔で語っている。1打を争う大接戦。当然、プレーオフも脳裏に浮かんでいた。しかし、追撃してきたのは親友である。というわけで、「きょうは、私に勝たせてほしい…です。正直な気持ち、プレーオフだけは避けたかった。だって、(ホウ)ユーチャンとはすごく仲がいい。練習ラウンドではいつも一緒だし2月、私の誕生日も祝ってくれたから」と、舞台裏を説明した。
難コース。しかも強風が吹き抜ける。各選手が死力をつくしての最終日だった。前半から忍耐を重ね、後半で一気に勝負をかけた。14番、残り108ヤードの第2打で50度を選択。打球はピンへ向かい、80センチのバーディーチャンスを演出する。落ち着いて、カップインさせた。
そして、パー3の16番。「14番を終わって、チャンスがあると思った。ただ、もうひとつチャンスがあるとすれば16番か、17番。18番は苦手だから」と、ティーイングエリアで大きく深呼吸した。第1打は6I。ピンから3メートルにつけた。「下りのスライスライン。難しいパッティングでした。だから、より集中力が増し、カップインすることができたのでしょうね」と振り返る。
高速グリーンを得意にしていた。それだけに、「台湾のコースでも、ここは特に速い。だから、本当に私向きと密かに狙っていたのですよ」とも。前年、人生を左右するような危機に直面した。左前腕のじん帯を損傷。「ゴルフを続けるか、迷いに迷った。私はやめたいと思うほど弱気だったけど、父からそれだけの才能をムダにしてはいけない、と激励された」と覚醒する。
ところが、故障は癒えても悲願の優勝には手が届かない。フィリピンで開催された前戦も2位。今大会は推薦で出場チャンスを得た。優勝が決まって安どの涙が頬を伝わる。
「初優勝、一生の思い出になるでしょう。今回、勝利を手にしてJLPGA最終プロテストの受験資格を得ることができた。それだけに、日本でプレーをしたい。華やかなツアーで戦ってみたいと考えています」。25歳、明るい未来へ大きな一歩を踏み出した。
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
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