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2024.7.26

飛躍はここから 山本景子-3年ぶりのV

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2024シーズン第10戦『カストロールレディース』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が7月26日、千葉県市原市・富士市原ゴルフクラブ(6,468ヤード/パー72)で行われ、首位スタートの山本景子が通算11アンダーで逃げ切りV。21年うどん県レディース以来、ステップ通算2勝目をあげた。1打差の通算10アンダー、2位は岩橋里衣。3位タイは通算9アンダー、若林舞衣子、サイペイインが入った。
(天候:晴れ時々曇り 気温:34.5℃ 風速:2.2m/s)

 ウイニングパットを決めると、山本景子のもとへ多くの選手が祝福へ訪れた。そして、相好を崩すと、深いため息がもれる。「うれしい。それもめちゃくちゃに。(前回優勝から)3年が経っていた。その間、仲の良い選手、また後輩が優勝。お祝いをする側でした。それだけに今回、出迎えをしてもらう立場になり、喜びもひとしおです。もっと、こういうシーンを増やさないといけません」。

 最終日、最終組でプレーするのはステップ初Vの21年、うどん県レディース以来だった。その時は3位からスタートし、逆転優勝。しかし、今回は首位から臨んだ。

 「前夜から、今大会は絶対に勝つ。そう、私が決めていた。気持ちで負けたくない。勝つ、勝つ、勝つ-何が何でも、でした」と加える。

 しかし、レベルが高く、より競争が激化したツアーでは楽な勝負などなし。一時は独走の流れをつくりあげたものの、終盤、しかも残り3ホールを迎えた16番から異変が起こった。

 そのパー3・16番で第1打をバンカーへ。第2打のリカバリーもうまくいかず、ボギーを叩いた。さらに、アドバンテージがあるはずのパー5・17番でも再び、第1打をバンカーへ入れてしまう。しかも、あごへ-という苦難である。このホールも連続ボギーで、1打差へ迫られた。

 「最終ホールのティーイングエリアでボードを見ると、1打差…。第1打の時には、アドレスへ入ったけど、何か気持ちが悪かった。一度、グリップをほどいて仕切り直しをしたことで集中力が高まったと思います」と振り返る。バーディーフィニッシュとはいかなかったものの、きっちりとパーセーブ。逃げ切った。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 一方、この日のハイライトはハーフターン直前の9番。残り103ヤードの第2打を50度で、ピン2メートルへ寄せ、Vの流れを自らが演出した。勢いをそのままにバック9のスタート、パー5・10番では残り222ヤードの第2打を4UTで2オンに成功。3メートルのイーグルを鮮やかに決めている。

 クラブを握ったのは16歳。小、中学時代はソフトボールの投手で、岐阜県代表という逸材だった。ところが高校入学後、お父さんから「ゴルフを、といわれてプロを目指すことになった。本当に最初は苦しかったです。ゴルフ部の部員はみんな、小さなころからの経験者ばかりですからね」。

 そうはいっても、恵まれた体形と、ソフトボールで鍛えた経験は大きい。とりわけ、飛距離は、「キャリーで平均250ヤード、ランを入れると260ヤードぐらいかなぁ」と前置きし、「だけど、諸刃の剣にもなります。腕の力がとても強い。これはいい時もあるけど、邪魔をすることもあるんです。良くするのも腕、悪さをするのも腕」と話した。

 プロ9年目を迎えている。今季は、「複数回優勝が目標。ひとつクリアできたし、もうひとつです。それでシーズンの明治安田ステップ・ランキング2位までに入れればいいなぁ。だけど、きょうは喜んでばかりはいられない。反省と、課題がたくさんみつかった。あまり、先のことばかりを考えても仕方がありません。もっと練習します」と、戒めた。

 大器晩成であることを、自身が一番わかっているからに違いない。

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